腰痛手術 保存治療で改善も

ちょっと待った、腰痛手術 保存治療で改善のケースも

加齢とともに骨や関節、椎間板などが変形し、腰痛になりやすくなる。
足がしびれ、歩くと痛いと、もう歩けなくなるかもとの不安が募る。
技術の進歩で腰痛手術も受けやすくなり、手術の平均年齢は70~80代と高まったが、本当に急ぐ場合ばかりではないと専門家は指摘する。

■手術後に悪化も
内視鏡などを使う体に負担の少ない方法が普及している。
そのために高齢者の脊柱管狭窄症の手術は増加している。
例えば某大学病院では「件数は25年前と比べ5~6倍。2013年に手術を受けた人の平均年齢は73歳」という。
日本整形外科学会の15年度報告では、内視鏡による脊柱管狭窄症の手術は4千件だ。
 
手術件数が増えた分、術後トラブルで再手術を望む人が増加している。
国内外の調査では、術後10年間に8~10%が再手術となっているとみられる。
しかし、急な手術が必要な場合は限られている。

注射で痛み除く
専門家が勧めるのは、手術に踏み切る前にまず保存治療することだ。
3カ月程度の保存治療の後、一般的に3分の1が症状が改善し、3分の1があまり変わらない、3分の1は悪化する。
様子を見た後に悪化する人には手術をする、という専門家もいる。
 
保存治療では、まず痛み止め薬で症状を緩和するほか、血行を改善させる。
それでもまだ痛いなら、神経に麻酔薬を打ち痛みを和らげる神経ブロック注射がある。
 
薬物治療だけでなく生活習慣の改善も大切だ。
腰に負担がくる肥満や運動不足があれば改めたい。
ウオーキングや片脚立ち、寝て膝を抱えて数秒保つなど体幹の筋肉に負荷がかかる運動などで腰回りを鍛える。
長時間同じ姿勢は避ける。
 
そもそもどうして症状は出るのだろう。
加齢で椎間板が傷むと背骨が不安定になる。
補うため靭帯が厚くなったり、椎間関節が変形したり、椎間板が後ろに出てくると、神経の通り道の脊柱管が狭くなって神経を圧迫、様々な症状が出てくる。
 
高齢者に多いのは腰部脊柱管狭窄症だ。
腰の下の方の神経で馬尾と呼ぶ部分が圧迫され、下肢に痛みや脱力感、しびれが出て、休み休みでないと歩けない間欠跛行(はこう)になることもある。
 
間欠跛行の状態は、すぐ手術が必要なのだろうか。
まずは保存治療で経過観察でかまわない。
仮に馬尾が強く圧迫されても、下半身が完全にまひすることはないので慌てないようにしたい。

 
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出典
日経新聞・朝刊 2016.4.9


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             2016.3.30 撮影