トコジラミ

トコジラミのかゆみ ダニと勘違い注意、部位で判断

国内外へ出かける機会が多い夏。
帰宅後、猛烈なかゆみに襲われたら注意したい。
宿泊先などから持ち帰った害虫「トコジラミ」が原因かもしれない。
 
トコジラミと聞くと、懐かしく思う人もいるかもしれない。
戦前から戦後直後までよく見られた害虫だが、駆除が進んで高度成長期に被害はほとんどなくなった。
 
だが、2000年ごろから欧米で急増したのをきっかけに、海外から持ち込まれて再び被害が増えている。
東京都によると、昨年度は303件の相談が寄せられた。8年前の11倍以上だ。
 
トコジラミは、体長が5~8ミリほどのカメムシの仲間。
1匹が複数箇所を刺して、人間の血を吸う。
初めて刺された場合は、かゆみや腫れといったアレルギー反応がでるまで、1週間から10日ほどかかる。
深夜に活動するため、寝ている間に刺されることが多い。肌が衣類から露出した手足や首などを狙うのも特徴だ。

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症状をみて、イエダニが原因と勘違いする人も多い。
トコジラミに効果の少ない殺虫剤を使い、駆除できずに刺され続けてしまうことがある。
イエダニは衣類の中まで入り込み、腹や股下など柔らかい部分を好んで刺す。
刺された部位で、ある程度トコジラミかどうか推測できる。
 
かゆみや腫れは、皮膚科で処方されるステロイド薬や抗アレルギー薬の飲み薬で治る。
温めたり冷やしたりすると一時的にまひしてかゆみが減るが、根本的には改善できない。
かきむしると細菌感染が加わり、伝染性膿痂疹とびひ)などに悪化することもある。
 
繰り返し刺される場合は、すでに家の中に住み着いている可能性が高い。
そうなると、徹底的に駆除するしか方法はない。

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やっかいなのは、従来使われていたピレスロイド系殺虫剤が効かないトコジラミが増えていることだ。
ある調査では、国内80カ所で集めたトコジラミのうち9割は、ピレスロイド系が効かなかった。
 
有機リン系なら効果があるという。
ただ、畳の縁やベッドの裏、柱や壁の隙間など、狭くて薄暗い場所に潜むため、一般の人が完全に駆除するのは難しい。
業者に依頼するのが基本になる。
駆除には時間もお金もかかる。
まずは、家に持ち込まないよう心がけたい。

トコジラミに剌された?
① かゆみがあり、赤く腫れている
② 一度に何力所も発疹ができる
③ 発疹の中心に刺した跡がある
④ 寝間着から露出した部分だけに発疹がある
⑤ 1週間 ~10日前に外泊した
⑥ 自宅で殺虫剤を使っても繰り返し刺される
⑦ 家の狭い場所に黒い点のシミがある

①②③ 一匹が満腹になるまで血を吸い続けるため、何カ所も刺して移動します。このため、複数の跡が残りま
す。刺し口は一つです。
④ 深夜に活動し、寝間着から露出した部分が狙われます。
⑤ 初めて刺される人は、しばらく症状がでません。
国内外の旅行先で泊まったホテルなどで刺され、飛行機の中や自宅に戻ってから症状が出る場合がありま
す。
⑥⑦ 旅行先からカバンなどに入って持ち帰ると、家に住み着くことがあります。
イエダニなどを駆除する殺虫剤には効果が少ない場合があります。狭く薄暗い場所を好み、ふんをした場所
は黒いシミができます。


関連サイト
防殺虫業者でつくる「日本ペストコントロール協会」のサイト
http://www.pestcontrol.or.jp/
(一般の人向けのパンフレット「トコジラミQ&A」が見られる。トコジラミがどんな所にいるか、どうやってあちこちに広がるかなどが詳しく紹介されている)

参考
朝日新聞・朝刊 2014.8.11