がん「骨転移」知って備える

がん「骨転移」知って備える  悪化で骨折・下半身不随の恐れ

がんが骨に転移するがん患者は、毎年15万~25万人といわれる。
「骨転移」を放置すれば骨折や下半身不随を起こしかねないが、医療現場の診療態勢は十分とはいえない。
患者側も予備知識として悪化の前兆を知っておきたい。

ほかの臓器で発生したがんが血液やリンパ液を介して骨に広がったものを骨転移という。特に乳がん、肺がん、前立腺がん、腎がんで起きやすい。
骨をもろくして骨折のリスクを高め、下半身不随も引き起こす。
 
しかし、日本の医療現場では骨転移のケアは不十分だ。
どうしても、元のがんの治療が最優先になる。
10年前までは、骨折などを予防しようという考えは一般的ではなかった。

カギを握るのは、骨や神経が専門の整形外科医。
理学療法士らと病室を同り、患者に骨折やまひの危険性がないか見極めるがん専門病院もある。
がんそのものを治療する主治医とは役割が違う。
 
日常の声かけが、患者に骨を気遣う意識を持たせ、予防につながる。
 
外来患者も含め、骨転移の状態に心配があれば、主治医は整形外科医に相談する。
麻痺は放射線をあてて、がんを小さくすることで未然に防ぐ。
 
院内の連携が実を結び、骨転移の患者の骨折は激減した病院もある。
そういった病院では下半身不随はほぼなくなったという。
  
骨転移に対する医療現場の意識は上がりつつあるが、全国的にみれぱまだ過渡期ともいえる。

国が指定する「がん診療連携拠点病院」は全国に397(14年4月)あるが、がんに詳しい整形外科医は全国に200人に満たないという。
 
「医療現場を変える必要はあるが、患者さんにも知識を持ってもらい、自分の身を守ってほしい」と、ある専門家は話す。


<まとめ>
骨転移の悪化のサイン
・じっとしていても痛むようになった
・週を追って痛みの頻度・強さが増す
・違和感が痛みに変わってきた
 ➡︎ 近日中に受診。
   主治医に相談しよう
・歩きにくくなった
・足のしびれ
 ➡︎ 歩けなくなる前に、ー両日中の受診を

起こりやすい場所
 背骨
 上腕骨(ひじ ~ 肩の骨)
骨盤
大腿骨(太ももの骨)

参考
朝日新聞・朝刊 2014.5.28




関連サイト
第1回
知っておきたい骨転移 はじめに
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201307/531801.html

第2回
がんの種類による骨転移の発生頻度と時期の違い
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201308/531960.html


第4回
骨転移の症状 Part.1  痛みと病的骨折
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201309/532197.html

第5回
骨転移の症状 Part.2 麻痺(脊髄損傷)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201309/532209.html

第6回
初期の骨転移および骨転移の種類と特徴
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201309/532283.html







第13回
前立腺がんと多発性骨髄腫の骨転移の特徴と対策
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201312/533825.html


第15回
その他のがん―あなたも後部座席から助手席へ―
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/series/bone_meta/201401/533935.html



骨移転についての知識 がん研有明病院 - がん研究会
http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/metastasis.html

がんの骨転移の症状や原因・診断と治療方法
http://health.goo.ne.jp/medical/10971400