衰えた肺の力を鍛え直す

衰えた肺の力、鍛え治せるか

腹筋使い、長く大きく呼吸
肺の機能の測定は「肺活量」を調べるのが基本だ。
口で掃除機のノズルに似た装置をくわえ、鼻は専用のクリップで軽く挟む。

まずは思い切り息を吸い、合図とともに息を普通のペースで吐ききる。
これが一般に「肺活量」といわれるもの。
吐いてと言われても体にうまく力が入らず、吐ききれない感じが残ることも多い。
次に思い切り吸って、勢いよく一気に最後まで吐ききる。
これは「努力性肺活量」と呼ぶ。

健康なら両方はほぼ同じ数値になる。男性で3000~4000ミリリットル前後、女性で2000~3000ミリリットル前後。

それぞれの肺活量は年齢と性別、身長から割り出される予測値があり、実測値が予測値の80%以上なら健康だ。

病気の早期発見を目的に、iPad用のアプリも開発されている。
(「COPDクリニック」)
肺活量を入力すると「肺年齢」がわかる。

肺の大きさは変えられないが、たばこを吸わないのに予測値より低い場合は、肺の動きを支える周囲の筋肉を鍛えて、改善できる。

呼吸をする際、息を吸うときは横隔膜を使う。
肋骨の下の方にくっついており、下がると肺が膨らみ空気が入る。
吐くときは腹直筋や腹斜筋といった腹筋群が活躍する。
これらの筋肉を鍛えれば、呼吸する力を取り戻せる。

■マッサージで 胸郭の動きよく
呼吸訓練には呼吸筋と肺を包み込む胸郭を柔軟にすることが有効。
高齢者には吐くことを意識した呼吸を訓練する。

横隔膜や腹筋群を意識した呼吸と歩き方がある。
吸うときは横隔膜を思い切り下げて、吐くときは腹筋で押し上げるようにする。
数週間続けるとコツがわかり、ゆっくり長く吐き続けられるようになる。

肺を包む胸郭の動きが良くなるマッサージ法もある。
寝る前に、横になってできる。
年齢とともに肋骨の間を支える筋肉や鎖骨の辺りが動きにくくなるうえに、姿勢が前かがみになりやすく、胸郭も閉じがちになる。
肋骨の下の部分を触り、骨と骨の間を優しくほぐすだけで、不思議と呼吸が楽になる。

胸郭を開いたり引き上げたりする運動がある。
椅子に座りながらでもできる。
しっかり腕を上げて、胸を開きながら運動する。
1、2回続けると汗ばむほどだ。

さらに昔ながらの玩具「吹き戻し」を使った運動も有効だ。
横隔膜と腹筋を意識する、いわゆる腹式呼吸の訓練をうたったドリーム(名古屋市)の吹き戻しは長さが約1メートルあり、相当おなかに力を入れなければ伸ばしきれない。


肺が9歳若返る 階段で息切れず
最初はなかなかできないが、1週間ほど続けるとスッと伸ばせるようになることが多い。
取扱説明書には戻すときも一気に戻さず、ゆっくりと書いてある。
これは結構難しい。

風船を膨らませるのもいい。

参考
日経新聞・朝刊 2013.12.7