健康の秘訣は足元から

健康の秘訣は足元から

足の不調のもとは骨格のゆがみにあり
くるぶしから下の部分、自分の「足」の形をよく見たことがありますか? 
指が曲がったり、土踏まずが平らになったりしていないでしょうか。
特に痛みがなければ変形があってもそのままにしがちですが、気づかないうちに足への負担が重なり、年齢とともに歩行が困難になることもあります。
日本では足のトラブルは病院にいくほどのことではないと思われ、「巻き爪(陥入爪)は爪切りの失敗が原因」「外反母趾はハイヒールを履いたから」「タコやウオノメは放っておいても治る」など間違った認識が広がっています。
実はそれらの多くは、足の基本的構造が本来の状態からゆがんでしまうことが原因なのです。
 
足は片方28個もの骨で構成され、それぞれが立体パズルのように複雑に組み合わさって、
甲が緩やかなアーチを描く構造になっている。
そのアーチを支えるのが足裏の筋肉。
アーチ構造は全身の体重を受け止め、歩行でかかる衝撃を吸収している。
しかしその不安定な構造は、立ち方や歩き方の悪いくせ、加齢による筋肉の衰え、靭帯の緩みなどでゆがむ。
すると、足の特定の場所だけに圧力がかかって痛くなったり、ゆがみをカバーするために本来と違う方向に指が曲がったりしてしまう。
外反母趾や巻き爪、タコ、ウオノメもゆがみの結果として出る症状なのだ。

年齢を重ねると腰や膝の痛みに
くるぶしの下にある骨が傾き、かかとが内側に倒れてしまう「回内」の状態になると、内
側に荷重がかかって土踏まずが地面に押し付けられ、足のアーチも押しつぶされる。
アーチ構造がつぶれると歩くのに負担が生じるが、筋肉や関節が柔軟なうちは、無意識のうちにひざや股関節でそのゆがみを調整している。
その結果、歩き方が偏り、姿勢の悪い状態が続いて長年のうちには腰痛やひざのトラブルも起こってくる。
中高年になって急に腰が痛くなった、疲れやすくなったという人は、足のアーチ崩れにもともとの原因があることが多いのだ。
 
外反母趾のほかにも、足裏の筋肉の一部に力がかかって炎症を起こす「足底筋膜炎」や、足の指先が変形する「ハンマートウ」、足の中指と薬指の間の神経が腫れる「モートン神経腫」、親指の付け根の関節に強い負荷がかかる「強剛母趾」など、さまざまな痛みを伴うトラブルを起こす。


足の健康を守る日常の心がけ
ひどい外反母趾や、指の変形は手術が必要な場合もある。
足のゆがみが矯正されると、腰の痛みや肩こりまで改善されることもあるのだ。
  
そこに至る前にトラブルを予防するには、生活習慣も大切だ。
日頃スポーツをやっているか、股関節やアキレス腱のストレッチをしているか、そしてどんな靴を履いているかも関わる。
足に合う靴の条件は、まずかかとが左右に倒れないようにしっかりホールドされていること。
靴の中で足がすべると指先に負担がかかり、形が崩れるもとになるので、甲が固定されるようひもなどでしっかり締められることも大事だ。
土踏まずの部分が少し上がっていると足のアーチがサポートされる。
そして、地面からの衝撃をきちんと吸収できるよう、ソール(靴底)がしっかりしているものを選ぼう。
足指の付け根部分で曲がり、地面を蹴る動作を靴がサポートしてくれるものが理想だ。
痛くないから、歩けるからとないがしろにせず、普段から足に合う靴で安定した歩行をこころがけよう。    

よくある足のトラブルも足アーチのゆがみが原因

  

足のトラブル ランキング
男性
1位 足底筋膜炎
2位 餅祗(タコ)
3位 強剛母趾
4位 陥入爪(巻き爪)
5位 外反母趾
6位 ハンマートゥ

女性
1位 外反母趾
2位 餅胆(タコ)
3位 足底筋膜炎
4位 陥入爪(巻き爪)
5位 強剛母趾
6位 ハンマートゥ

男女比率:男性25%、女性75%
(ある診療所の調査結果)

以下の3つの足の病変は・・・
足アーチが崩れ、外反扁平足になる「くるぶしが内側に傾く『回内』」が原因といわれている。
外反母趾
親指の先が人差し指側に曲がり、付け根が外側へ張り出す

② タコ・ウオノメ
足裏の一部分に荷重がかかり、皮膚が厚くなる。
ピンポイントに力がかかって深くなるのがウオノメ

③ 巻き爪
親指の先が内側に倒れ、指の肉がよじれて爪が食い込むように変形する


朝日新聞・朝刊 2017.3.25 広告特集


私的コメント
整形外科の領域の一つに足ポダイアトリー(足病学)という名前がつけられています。
ちなみに名古屋大学に「手の外科」という教室があり外来も行っていますが「足の外来」はありません。
いわゆる「片手落ち」の感があります。
四つ足の動物に例えれば「前足外来」「後ろ足外来」ということになりますが、どうして「手足の外科」がないのかちょっと不思議です。
調べてみましたが足の専門医は手の専門医より全国的にみて少ないようです。
全体重がかかる足は歩行に不可欠なものであり、悩んでみえる方も多いはずです。

参考
日本手外科学会
http://www.jssh.or.jp/ippan/what_tegeka/index.html
http://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/index.html
(代表的な手外科疾患を調べることが出来ます)
日本足の外科学会
https://www.jssf.jp/general/index.html
(「パンフレット」の項目に11種類の足の疾患の解説をPDFでみることが出来ます)