コンクリ住宅 熱中症に注意

コンクリ住宅 熱中症警戒 夜間も熱ため込む 無理せずエアコン

熱中症対策で注意しなければいけないのは室内の環境。
熱中症で救急搬送された人の半数近くは室内でなっている。
また、室内では昼間だけではなく、夜間にも熱中症は起こる。
部屋に熱をため込まないよう、十分な対策が必要だ。

気象庁のデータによれば、東京の年平均気温は、ヒートアイランド現象や地球温暖化の影響などにより過去100年で3.3度上昇している。
大阪、名古屋は2.9度、同じように上昇している。
日中の最低気温が25度より下がらない熱帯夜も1970年代から増えている。
 
これに伴い、熱中症で救急搬送される人数も増加している。
消防庁によると、昨年5月から9月までの全国における熱中症による救急搬送人数の累計は約5万人。
国立環境研究所が2015年5~9月に熱中症で救急搬送された患者を調査したところ、約4割が住宅内で熱中症にかかっており、このうち7割が65歳以上の高齢者だった。
 
環境省によると、熱中症を引き起こす要因は「環境」「からだ」「行動」に分類できる。
環境には、気温のほか、湿度、ふく射熱、気流などが含まれる。からだは、暑さに適応できていない状態、肥満、体調不良などがある。

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元気な成人は、暑さにより体温が上がっても発汗や皮膚温が上昇することで体から放熱するが、高齢者は体温調節機能が劣化するため熱中症を引き起こす可能性が高くなる。
行動には、激しい労働や運動などの活動、水分補給の不足などがある。
 
室内での熱中症には、特に環境が大きく影響する。
マンションの最上階で観測したデータによると、午前9時に赤外線カメラで室外ベランダ付近を撮影すると表面温度は33度。
午後9時には外気温が下がることによって26度まで低下している。
 
しかし、室内の天井の温度は午前9時に32.4度であったが、外気温が低下した午後9時になっても33.4度もあった。
さらに、夜間の室温の変化を観察したところ、外気温が昼間より6度下がったのに対し、室温は30度のままだった。
 
コンクリートの住宅は、昼間の太陽熱で建物が暖まってしまうと、熱をため込んでしまう。
その熱が夜間に部屋の中を移動するため、室温が下がらない。
一晩中、暑い状態が続くことで熱中症が夜中にも起きている。
特に最上階は要注意。
 
コンクリートのマンションでは、昼間の温度上昇は少ないが翌朝まで暑い。
天井面からのふく射熱により夜間の室温が上昇する。
戸建て住宅でも、上層階の西向きの角部屋などで夜間の温度が高くなりやすい。
 
夜の天井温度や室温が高くならないようにするには、どうすればいいか。
ひとつは、すだれなどを利用して昼間の日射遮蔽をするのが大切だ。
また、暑くなったベランダに夕方、打ち水をするのも有効だ。
最上階であまりにも暑くなるときには、断熱機能があるウレタンの吹き付け工事をし、天井からの熱を遮断することを勧める。

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熱中症対策には部屋に熱をため込まないことが肝心。
特に暑さを感じにくくなっている高齢者は注意が必要だ。
「エアコンに頼らなくても自分は大丈夫」などと過信せず、エアコンのスイッチを入れることが大事だ。
体感温度だけで暑さを判断するのではなく、温湿度計を自室において実際の温湿度をこまめに確認することが大切だ。
 
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」も熱中症対策に有効だ。
 
例えば、温湿度計測装置「NETATMOウェザーステーション」はスマートフォンスマホ)に連動しており、ネット経由で測定したデータをサーバーに蓄積してくれる。
身内で遠くに住む一人暮らしの高齢者などがいる場合には、遠隔で温湿度を確認できる。
 
家電向けの通信規格「エコーネットライト」を活用して、熱中症になる恐れがある時にエアコンのスイッチを入れたり、警報を送ったりすることも可能になってきた。
 
我が家の熱中症対策は十分か、点検が欠かせない。


メモ
高温 睡眠障害の引き金に
夜間の気温上昇は、睡眠障害を引き起こす。
外気温か25度から1度上昇するごとに睡眠障害者が7.3%増加するという。
大阪府における夏季1日あたりの睡眠障害による被害額は17.3億円にのぼるとの試算もある。


 
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参考・引用
日経新聞・朝刊 2017.7.5