転ばない努力を続けよう

骨をがっちり 転ばない努力を続けよう

若いうちから食事と運動に気をつけるのが、骨粗鬆症の最も効果的な予防法だが、年を重ねてから突然、「骨量が基準より少ない」と言われても、あきらめることはない。
 
高齢者の骨折は、何でもないところで転んだり、バランスを崩して手やおしりをついたり、物にぶつかったりすることがきっかけになりやすい。
転ばないための工夫や努力が重要な予防法になる。
 
治療薬をきちんと飲み、カルシウムやビタミンなどの栄養や体のバランスを保つ能力をできるだけ維持することが、転倒を防ぐ。
自宅に手すりを設けるなど、転びにくい環境を作ることも大切だ。
 
それでも骨折することがある。
骨粗鬆症による場合は背骨(脊椎)や手首、足の付け根(大腿骨頚部)、肩、足首などが折れやすい。
最も頻度が高い背骨の椎体部分の骨折は、80歳以上では20人に1人が経験するという。骨折に気づかず、腰や背中の痛みで受診する人も少なくない。
  
ただ、椎体骨折で手術が必要な人はI~2割。
多くはI~2週間の安静と2~3カ月のコルセット着用で落ち着く。
 
手術には、患部に骨の素材に近い人工骨や、骨セメント(未承認)を補充して安定させる「椎体形成術」、金属を支柱にして背骨をがっちり固める手術などがある。
 
椎体形成術は、部分麻酔で体への負担が最小限で済み、痛みが劇的に改善して、日常生活に戻れることから、普及しつつある。
ただ、素材漏れによるショックや、神経のまひなど、重い合併症も起こりうるので、希望する混合は脊椎の専門医がいて、麻酔や救急の医療態勢も整った病院を選ぶのがよさそうだ。
 
骨折後は、症状が落ち着いたらリハビリで体をなるべく動かした方がいい。
次の骨折を恐れて動かないのは逆効果。
骨粗鬆症の薬物治療を続けながら、できる範囲で体を動かし、転びにくい体づくりを意識したい。


<圧迫骨折の手術は?>
①素材によって一長一短
②脊椎専門の病院を選ぶ
③急変時の対応も事前確認

 
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朝日新聞 2008.11.8