血液1滴でがん13種診断

血液1滴でがん13種診断 早期発見へ臨床研究

1滴の血液から13種類のがんの有無を同時に診断できる検査法を国立がん研究センターなどのチームが開発した。
がんが分泌する微小な物質を検出する。
腫瘍マーカー」を使う現在の血液検査と比べ発見率が高く、ごく初期のがんも見つけられるのが特長という。
 
チームはがん患者らを対象とした臨床研究を進め、数年以内に国の承認を得たい考え。
センターでは「患者の体への負担が少ない比較的安価な検査になる。早期発見できれば、より効果的な治療ができ、医療費削減にもつながる」と話している。
費用は2万円になる見込み。
 
腫瘍マーカー検査は、主にがん細胞が死ぬ時に出るタンパク質を検出するもので、ある程度がんが進行しないと発見が難しい上、正確性に問題がある。
 
チームは、がんが血中に分泌する「マイクロRNA」と呼ばれる物質に着目。
国立がん研究センター国立長寿医療研究センターなどに冷凍保存されていた約4万3千人の血液を使い、乳がんや大腸がんなど13種類のがんに特徴的なマイクロRNAを調べた。
 
すると、それぞれのがんに2~10種類の特有のマイクロRNAがあることが判明。
分泌量の変化を調べることで、どのがんも95%程度の確率で発見できた。
13種類は胃がん食道がん、肺がん、肝臓がん、胆道がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん前立腺がん、ぼうこうがん、乳がん、肉腫、神経膠腫
 
人工知能(AI)を分泌量の分析に利用すれば、検査の精度をさらに高められる可能性がある。
 
ただ長期間保存した血液は、マイクロRNAが変質している恐れもある。
このため新たにがんと診断された人ら3千人以上の新鮮な血液を採取し、有効かどうかを調べる臨床研究を進める。
現段階では一般の人を対象とした研究は予定していない。
チームは、まず乳がんの検査法としての承認を目指したいとしている。

参考・引用
日経新聞 2017.8.20

私的コメント
「ごく初期のがんも見つけられる」ということが特徴のようですが、画像診断などの臨床検査で診断がつけれないようなごく早期で陽性になった場合、逆に臨床現場で混乱が起きそうです。
そして、どのくらい早期に診断可能かといったところがもう少し知りたいところです。
また、すべてのがんが早期診断できるわけではないということも理解しておく必要がありそうです。
子宮がん、腎がん、脳腫瘍などは「13種類のがん」には入っていません。
しかし、今後は診断可能な「がん」の種類も増えていくのではないでしょうか。


<関連サイト>
発症前のがん発見へ一歩 血液1滴で分析
https://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/39145136.html