中高年の骨折「西高東低」

中高年の骨折「西高東低」  近大など調査、最大2倍超の差

高齢者に多い「大腿骨近位部骨折」について、近畿大大阪医大の研究グループが人口10万人当たりの発生率を都道府県別に調べた結果、中部から関西、九州など西日本で高い傾向がみられることが分かった。
都道府県の最大差は約2倍。
研究グループは明確な要因は不明としながら「食生活が影響している可能性もある」との見方を示している。

大腿骨近位部は、足の付け根の股関節に接する部分を指し、骨折すると寝たきりなど介護が必要な状態になることが多いという。
調査はレセプト(診療報酬明細書)を基に作成した厚生労働省のデータベースを活用。
2015年の40歳以上の患者15万2千人(男性3万2千人、女性12万人)を都道府県ごとに振り分け、人口10万人当たりの発生率を男女別に算出した。
 
全国平均を100とすると、患者が多い女性の場合、最高は兵庫の120。
次いで和歌山と沖縄(118)、奈良と大分(116)だった。
一方、男性で最も発生率が高いのは沖縄の144。和歌山と長崎(126)、佐賀(124)、兵庫と鳥取(121)が続いた。
 
これに対し男女とも低いのは秋田(男性63、女性65)、青森(男性65、女性68)、岩手(男性70、女性68)、宮城(男性73、女性71)、北海道(男性78、女性75)。
主に関西や九州で100以上、東北や北海道で100未満となる「西高東低」の傾向が確認された。
秋田の男性と、沖縄の男性では2.3倍近い開きがあった。
 
この部位の骨折は、骨量が減る「骨粗しょう症」になると起きやすいとされる。
研究グループの玉置淳子・大阪医大教授(疫学)は「肥満度を示す体格指数(BMI)や飲酒・喫煙、ビタミンD不足が要因として考えられる」と指摘。
積極的に検診を受けるよう求めた。


股関節付近の骨折、高齢者多く 歩行に支障、介護の契機に
「大腿近位部骨折」は骨がもろくなった高齢者に目立ち、比較的軽度なつまずきでも起きるとされる。
それまで通り歩けず、介護を受けるきっかけとなるなど、生活の質に大きな影響を与えることも多い。
高齢化が進む中、健康で自立した生活を送るためにも食事や運動などの面で日常的な予防を心掛けたい。
 
厚生労働省によると、日本人の平均寿命は男女とも80歳を超え、日常生活に制限のない「健康寿命」は男性が71歳、女性74歳(2013年時点)となっている。
 
16年国民生活基礎調査では、介護が必要となった主な要因として「骨折・転倒」を挙げたのは男性の6.7%、女性14.9%。
「関節疾患」は男性5.2%、女性12.8%で、骨や関節など運動器の重要性が際立つ。
 
こうした状況を踏まえ、厚労省は、運動器の機能が衰える「ロコモティブシンドローム」の予防に向け、適度な運動や食生活の見直しを提唱している。

 
イメージ 1


参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.11.15