アルツハイマー、3薬併用で効果
アルツハイマー、3薬併用で効果 京大が基礎研究
京都大学の井上治久教授らはiPS細胞を活用してアルツハイマー病の患者の細胞を再現し、発症原因とされる物質を減らす3種類の薬の組み合わせを見つけた。3つともそれぞれ別の病気で使われている既存薬で、投与することでアルツハイマー病の発症や進行を抑えられる可能性があるという。
今回は基礎研究の成果で、動物実験などで詳しく調べる。
成果は米科学誌セル・リポーツに22日掲載される。
認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病は「アミロイドベータ」というたんぱく質が、脳内に蓄積して起こると考えられている。
この物質は発症の10年以上前からたまり、神経細胞などが死滅する。
高齢社会の到来で患者は増えており国内で250万人を超える。
現在の治療薬は進行を和らげる程度にとどまり根本治療法はない。
研究チームはアルツハイマー病患者からiPS細胞を作製。脳の神経細胞に育てた。
神経細胞はアミロイドベータ量が多いという患者の病態を再現していた。
この量を減らす効果があるか既存薬1258種類を調べた。
この結果、パーキンソン病などの薬「ブロモクリプチン」、ぜんそくの薬「クロモリン」、てんかんの薬「トピラマート」の3種の組み合わせが最も効果があった。
アミロイドベータの蓄積量を30~40%低減できた。
井上教授は「患者での効果はまだ分からないが予防や治療に使える可能性がある」と話す。
3種類とも既存薬なので安全性は高いとみている。
アルツハイマー病に詳しい大阪市立大学の富山貴美准教授は「今回の組み合わせで病気の発症を予防できる可能性があるが、動物実験による確認が必要だ。既に神経細胞が死滅し傷ついた脳の組織を再生するのは難しいだろう」と指摘する。
認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病は「アミロイドベータ」というたんぱく質が、脳内に蓄積して起こると考えられている。
この物質は発症の10年以上前からたまり、神経細胞などが死滅する。
高齢社会の到来で患者は増えており国内で250万人を超える。
現在の治療薬は進行を和らげる程度にとどまり根本治療法はない。
研究チームはアルツハイマー病患者からiPS細胞を作製。脳の神経細胞に育てた。
神経細胞はアミロイドベータ量が多いという患者の病態を再現していた。
この量を減らす効果があるか既存薬1258種類を調べた。
この結果、パーキンソン病などの薬「ブロモクリプチン」、ぜんそくの薬「クロモリン」、てんかんの薬「トピラマート」の3種の組み合わせが最も効果があった。
アミロイドベータの蓄積量を30~40%低減できた。
井上教授は「患者での効果はまだ分からないが予防や治療に使える可能性がある」と話す。
3種類とも既存薬なので安全性は高いとみている。
アルツハイマー病に詳しい大阪市立大学の富山貴美准教授は「今回の組み合わせで病気の発症を予防できる可能性があるが、動物実験による確認が必要だ。既に神経細胞が死滅し傷ついた脳の組織を再生するのは難しいだろう」と指摘する。
iPS10年、難病治療に光 山中氏「ここから正念場」
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長らがヒトiPS細胞の作製に成功したと発表してから21日で10年を迎えた。
iPS細胞の応用の2本柱である創薬と再生医療では、一部で臨床試験(治験)や臨床研究が始まる段階まで来た。
山中氏は「ここからが正念場」と気を引き締める。
山中氏はヒトiPS細胞10年に合わせ「患者の安全性を最優先しながら、様々な研究機関や医療機関などと連携して、一日も早く患者にiPS細胞を使った新しい医療を届けたい」とのコメントを出した。
iPS細胞は皮膚や血液などの細胞に遺伝子を入れ、様々な細胞になる「万能細胞」に変える技術。
iPS細胞の長所が生きるのが新薬開発だ。
病気の患者から作ったiPS細胞は患者と同じ遺伝子を持つ。
iPS細胞を神経や筋肉などの病気の細胞に育てることで、アルツハイマー病などの病態を研究室の中で再現できるようになった。
発症の仕組みの解明などに役立つほか「患者の分身」となる細胞で様々な物質の効き目を試し、薬の候補を効率的に絞り込むことも可能だ。
ネズミなどの動物実験で分からなかった効果も明らかになると期待される。
京大の戸口田惇也教授らは筋肉の中にできる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の進行を抑える薬の候補を発見。
約7千種類の化合物の中から免疫抑制剤の「ラパマイシン」が効くことを突き止めた。
iPS細胞を活用した世界初の創薬として、8月に医師主導治験を始めた。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)や遺伝性の難聴、肥大型心筋症などでも薬の候補が見つかった。
アルツハイマー病を含め、治療の難しかった病気で創薬の成功率が上がると期待されている。
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長らがヒトiPS細胞の作製に成功したと発表してから21日で10年を迎えた。
iPS細胞の応用の2本柱である創薬と再生医療では、一部で臨床試験(治験)や臨床研究が始まる段階まで来た。
山中氏は「ここからが正念場」と気を引き締める。
山中氏はヒトiPS細胞10年に合わせ「患者の安全性を最優先しながら、様々な研究機関や医療機関などと連携して、一日も早く患者にiPS細胞を使った新しい医療を届けたい」とのコメントを出した。
iPS細胞は皮膚や血液などの細胞に遺伝子を入れ、様々な細胞になる「万能細胞」に変える技術。
iPS細胞の長所が生きるのが新薬開発だ。
病気の患者から作ったiPS細胞は患者と同じ遺伝子を持つ。
iPS細胞を神経や筋肉などの病気の細胞に育てることで、アルツハイマー病などの病態を研究室の中で再現できるようになった。
発症の仕組みの解明などに役立つほか「患者の分身」となる細胞で様々な物質の効き目を試し、薬の候補を効率的に絞り込むことも可能だ。
ネズミなどの動物実験で分からなかった効果も明らかになると期待される。
京大の戸口田惇也教授らは筋肉の中にできる難病「進行性骨化性線維異形成症(FOP)」の進行を抑える薬の候補を発見。
約7千種類の化合物の中から免疫抑制剤の「ラパマイシン」が効くことを突き止めた。
iPS細胞を活用した世界初の創薬として、8月に医師主導治験を始めた。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)や遺伝性の難聴、肥大型心筋症などでも薬の候補が見つかった。
アルツハイマー病を含め、治療の難しかった病気で創薬の成功率が上がると期待されている。
再生医療でも実際の患者に移植する段階まで来た。
理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらは2014年、目の難病「加齢黄斑変性」の患者に、iPS細胞から作った網膜の細胞を移植する世界初の手術を実施した。
現在までに臨床研究として計6人の患者への移植を済ませ、経過を観察している。
18年以降はパーキンソン病や脊髄損傷、心不全などの患者に対してもiPS細胞を使った治験や臨床研究が始まる予定だ。
効果と安全性を確認し一般の治療として普及させるのが第一だが、同時にコスト低減を目指す努力も必要となる。
理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらは2014年、目の難病「加齢黄斑変性」の患者に、iPS細胞から作った網膜の細胞を移植する世界初の手術を実施した。
現在までに臨床研究として計6人の患者への移植を済ませ、経過を観察している。
18年以降はパーキンソン病や脊髄損傷、心不全などの患者に対してもiPS細胞を使った治験や臨床研究が始まる予定だ。
効果と安全性を確認し一般の治療として普及させるのが第一だが、同時にコスト低減を目指す努力も必要となる。