感染症防ぐ正しい手洗い

感染症防ぐ正しい手洗い  親指や指先も忘れずに  10回でリスク半減 / タオル共有は避ける

インフルエンザや風邪が流行る時期。
様々な予防法のなかでも、子どもから高齢者まで簡単に実践できるのが「手洗い」だ。
感染症予防に効果的な正しい手指の洗浄・消毒法を知っておくことが予防につながる。

インフルエンザは国内で年間1千万人以上が感染するといわれており、12月から2月にかけて患者数が増える。
この時期は風邪やノロウイルスによる感染性胃腸炎などにも注意が必要だ。
 
インフルエンザや風邪の主な感染経路は、くしゃみや咳による飛沫感染
一方で、ウイルスが付着した物に触れた手で目や鼻、口に触ることで間接的に感染する接触感染も、見逃せない経路だ。
ノロウイルスも飛沫や接触で二次感染を起こす。
 
接触感染の予防に欠かせないのが手洗いだ。
インフルエンザの感染リスクは、せっけんを使った手洗いを1日5回以上すると3割ほど減り、10回以上だと5割程度減るという報告もある。
 
インフルエンザワクチンによる発症防止効果が4割前後といわれることを鑑みると、日常生活で簡単に実践できる手洗いの予防効果は侮れない。
特に外出の後や調理の前後、食事の前、トイレの使用後には手を洗う習慣をつけることが大切だ。

ワクチン接種と併せて、積極的な手洗いを心がけたい。
 
加えて正しい洗い方をすることも肝心だ。
手洗いの心得のある医療従事者を対象に行った調査でも「親指や指先、小指側の側面など
に洗い残しが多く見られた」という。
こうした部位もきちんと洗えるよう、洗い方の手順を覚えておこう。
 
手を水でぬらしたあと、手のひらでせっけんをよく泡立てて全体をこする。
続いて手の甲や指先、爪や指の問、親指、手首と小指側の側面の順に20~30秒かけて洗う。
 
誕生日の歌「ハッピーバースデートゥユー」を1回歌うと約10秒。
これを2~3回歌うのを目安にするといい。
 
洗い終わったあとは流水でせっけんをよく洗い流し、手を拭く。
タオルはできれば各自用意し、共有は避けたい。
ペーパータオルを使うのが理想的だ。
 
くしゃみや咳をするときに手で鼻や口を覆ったあとや、手に汚れが付着しているのが見えるときは、せっけんを使う手法いが基本だ。
目に見える汚れがなければ、手や指の消毒用のアルコール液やジェル剤での消毒でも同等の効果がある。
 
アルコール消毒液やジェル剤を使うときは、くぼませた手のひらに500円玉大の量を取り、指先をつけてよくなじませる。
その後、手のひら側と手の甲側の全体、指の間、親指、手首と小指側の側面に広げて、すり込んでいく。
 
アルコール消毒液は、頻繁に使うと皮脂が奪われて、皮膚がガサガサになりやすい。
手荒れが気になる人は保護剤や軟化剤の入ったジェル剤がおすすめだ。
 
せっけんで手を洗うときも、直後手に取ると手荒れの原因になる。
手を水でぬらしてから洗うのは、せっけんをよく泡立てるためでもあるが、手荒れの予防が一番の目的だ。
 
最近は携帯サイズのアルコール消毒液やジェル剤も多く市販されている。
それらを持ち歩き、電車のつり革につかまったあとなどに使っている人もいるという。
通勤時や外出時には、バッグやポケットに用意しておくといいだろう。
 
ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくい。
身近に感染者がいるときは、手洗いの回数を増やすなど工夫しよう。

参考・引用
日経新聞・朝刊 2017.11.25