スマホ首

スマホ首、ストレッチで撃退

スマートフォンスマホ)やパソコンの普及に伴い、長時間うつむいた姿勢を取り続けることなどから、首に凝りが生じて体調不良を訴える人が増えている。


直立時の3倍負担
長時間、うつむき姿勢を続けると、頭の重みを首だけで支えることになり、直立時の3倍もの負担が首の後ろ側の筋肉にかかる。
これが首の凝りにつながり、さまざまな疾患を引き起こすので注意が必要だ。

首には心臓の動きなど人間が命を維持するうえで必要な機能をコントロールする自律神経が密集している。長時間、うつむき姿勢を続けることによる疲労で首の筋肉が硬くなると、リラックスする時に優位になる副交感神経の働きが阻害され、頭痛、めまい、自律神経失調症などを引き起こす。
重症になると、精神疾患ではないうつ症状が表れるという。

お勧めは、15分に1回、後頭部と首の境目で両手を組んで頭を後ろに倒し、30秒静止して筋肉を緩める方法。
首の緊張を緩めてくれるホットタオルを首の後ろに当てるのも効果的だ。

1日3回30秒
スマホの普及と同時期に、首が原因で不調を訴える人が増えた。
スマホなどを使い続けた結果、首の筋肉が前に引っ張られてしまい、異常が起きている状態を最近では「スマホ首」と呼ぶ。
 
スマホ首を疑う人は、鄭さんが作成した「スマホ首セルフチェックを試してみよう。
3項目以上当てはまる人は、スマホ首の可能性が高い。
 
スマホなどを長時間使い続け、首が前に出た姿勢が続くと、胸鎖乳突筋が過緊張を起こす。
胸鎖乳突筋は、首を上下左右に動かしたり、呼吸を補助したりする働きも担っており、首の後ろ側にある板状筋群や僧帽筋などと引っ張り合いをしている筋肉。
首の後ろ側だけでなく、首の前側を緩めることで、首や肩の凝りが改善される。
 
ただ、胸鎖乳突筋はデリケートな部位にあるので、直接、もむことは難しい。
そこで考案されたのが、胸鎖乳突筋の筋緊張に直接かかわっている大胸筋をつかむため、脇を押さえながらストレッチをする方法だ。
縮んでしまった筋肉のみならず、肩周りの筋肉までもしっかり伸ばすことができる基本ストレッチだ。
これを1日3回両腕で計30秒行う。
 
スマホ首を放置しておくと、筋肉に関節が引っ張られ続け、頸椎のカーブがなくなってしまう「ストレートネック」になりやすい。
ストレートネックになると、頭を支えるクッション機能が低下するため、筋肉への負担が増えて首の凝りになりやすい。
ストレートネックに悩む人は、この基本ストレッチを行いながら、
▽ゆっくり首を回す(右回り、左回り3回ずつ)
▽腕を大きくゆっくり回す(前後5回ずつ)
を1日3回行うと良い。
1日に1回はスマホと距離を置き、ゆっくり自分と向き合う時間を作り、ストレッチを毎日の習慣にすることが大切だ。
 
家族でルールを
昨年4月に内閣府が発表した消費動向調査によると、今やスマホの世帯普及率は5割を超える。
 
依存にならないようスマホとうまく付き合うにはどうしたらよいのか。
それには、なるべくスマホに触れられない場所や状況に身を置くことがヒントになる。
 
大人であれば、仕事後に習い事をしたり、趣味に興じたりすると良い。
また、だらだらとネットサーフィンをしないよう、何のアプリを使用するか、どこのサイトを見るかなど決まりごとを作っておくのも効果的だ。
深夜の使用を禁止したり、ネット使用の制限時間を決めたりすることも有効だ。
 
ルールを逸脱しにくくなるため、家族に決めたルールを発表するのも手だ。

スマホ首」セルフチェック
◻︎ スマホを使っている時に首の凝り、肩凝りを感じる
◻︎ 見上げる時、首に違和感がある
◻︎ 首がスムーズに上を向くことができない
◻︎ 長時間うつむき姿勢でいて、姿勢を変えることが少ない
◻︎ 目が疲れやすい
◻︎ ドライアイである
◻︎ 猫背の姿勢がほとんど
◻︎ 1日5時間以上、スマホやパソコンを使っている
◻︎ 身体が疲れやすいと感じる
◻︎ やる気が起きない
◻︎ スマホを枕元に置いて寝ている
◻︎ 寝不足を感じることが多い
◻︎ 何となく身体に不調がある

参考・引用
毎日新聞 2015年5月15日