動物でヒト臓器

動物でヒト臓器、今秋にも解禁・・・研究指針見直し

ブタなどの動物の体内で人の臓器を作る研究について、文部科学省の専門委員会は30日、人の細胞が混じった動物の胚(受精卵)を動物の子宮に戻し、出産まで認める報告書をまとめた。
今後、指針を改正し、今秋にも研究が解禁される見通し。
 
動物の体内で人の臓器を作る場合、特定の臓器だけできないように遺伝子改変した動物の胚に、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を入れ、子宮に戻して出産させる手法が考えられている。
日本の現行指針では、こうした胚を子宮に戻すことを禁じている。
 
報告書では、この研究が移植用臓器の確保や病気のメカニズムの解明、新たな治療法の開発につながる可能性があると指摘。
研究が容認されている米英などの状況を踏まえ、人の細胞を入れた動物の胚を子宮に戻し、出産まで認めるのが適当とした。
 
ただし、人と動物の境界があいまいな動物を作る恐れがある研究や、生まれた動物の交配、人由来の生殖細胞による受精などは行わないこととした。
研究の実施にあたっては、国や各大学・研究機関の倫理委員会があらかじめ審査することも求めている。
 
研究が解禁されれば、中内啓光・東京大特任教授のチームが、ブタで人の膵臓を作る研究を行う考えを示している。

参考・引用
読売新聞 2018.4.2


<関連サイト>
ヒト臓器、動物で作製容認 移植は認めず
ヒトの臓器を動物の体内で作る研究指針について、改定内容を検討していた文部科学省の専門委員会は2017年12月29日、報告書案を公表した。
ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を入れた動物の受精胚を、動物の子宮に着床させて出産させることが認められていなかったが、創薬と安全性を確かめるための基礎研究に限って容認。
ただ、ヒトへの臓器移植は「現時点で安全性の観点から認められない」とした。

この方法で生まれた動物の交配や、ヒトの生殖細胞を持たせた動物からヒト胚をつくることは禁止した。文科省は年内にも指針を改定する。
ヒトへの移植に道が開けるが、安全や倫理面で議論が続くとみられる。
 
研究が進みそうなのは、ブタによる膵臓の作製。
膵臓ができなくしたブタの受精胚にヒトのiPS細胞を入れ、「動物性集合胚」を作る。
これをブタの子宮で育て、ヒトの膵臓を持つ子ブタを出産させる。
膵臓の異常による糖尿病などに際し、患者本人のiPS細胞を使い、移植しても拒絶反応がない臓器を作れるという。
ヒトと動物の外見を併せもつ動物ができないかなどの懸念があるが、同委は「可能性は極めて低い」と判断した。
 
動物性集合胚を動物の子宮に入れることは、政府の総合科学技術会議(当時)の委員会が2013年に容認。
文科省が指針改定作業を進めていた。
米国では、胎児の段階まで進んだ例があるが、機能するような臓器はできていない。

参考・引用
毎日新聞 2018.1.29


ヒツジがヒトの臓器工場になる日
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/post-9559.php
・記事中のある専門家のコメント
「ヒツジの膵臓の細胞型を全て人間の細胞に置き換えることに成功したとしても、膵臓内の血管はヒツジ由来のものになる。これらの臓器を人間に移植して、拒絶反応を完全に抑えることができるはずがない」


私的コメント
動物愛護協会のアクションはないのでしょうか。
最近の大相撲の地方巡業での土俵上のアクシデントで「相撲の伝統と人の命とどちらが大事か」という問いが投げかけられました。
今回の一連の研究は「人の命は動物の命より尊い」という大前提に立っています。
しかし、記事中の中内啓光特任教授は大昔から知っている方だけに個人的には応援しています。