「手の震え」放置しないで

「手の震え」放置しないで 頻発なら早めに受診を

人前で字を書いたり、食事したりするときに、手が震えるとひそかに悩む人は少なくない。
手が震えには、背後に重要な病気が潜んでいる場合もある。
手の震えが出る病気と、対処法を知っておこう。
 
職場の飲み会で上司に酒をつごうとして、ブルブルと手が震えて恥ずかしい思いをした人もいるはずだ。
激しく緊張したり、腕の筋肉を酷使したりした時に手が震えるのはよくある。
 
震えが出ても一時的であればあまり心配はない。
手の震えが頻繁に起きるなら、早めに神経内科などを受診し、原因を見極めたい。
複数の病気で、手の震えが症状として出るからだ。
 
最も多いのは「本態性振戦」という病気だ。
震えのみが出て、他の症状を伴わない。
患者は人口の2.5~10%を占めるといわれ、決して珍しくない。
 
本態性振戦の震えは、字を書くときや食事中など、動作のときに起きるのが特徴だ。
基本的に本態性振戦は症状が悪化することはなく、命に関わることのない「良性」の病気だ。
最初は手だけだった震えが、首を揺らしたり、人前で話すと声が震えたりと、広がることもある」と話す。

症状の緩和には生活改善が有効だ。
カギになるのは緊張をほぐすこと。
本態性振戦は精神的な影響を受けやすい病気だ。
たとえば、水が入ったコップを持つと緊張して手が震えるが、空のコップだと震えない人もいる。
 
緊張で震えが強くなる人は、深呼吸をするなどして、なるべくリラックスするよう心がける。
震えを意識すると余計に震えが出やすくなるので、気にしすぎないことも大切だ。
精神安定剤の服用で、症状が軽くなる場合もある。
 
カフェインなどの刺激物は症状を悪化させやすいので、人前に出るときは摂取を控えよう。
本態性振戦の患者が少量のアルコールを飲むと、一時的に震えが和らぐ場合もあるが、酒に頼らないよう気を付けたい。
 
人前に出るなど震えては困るという場面がある人は、交感神経の働きを和らげるβ遮断薬の処方を医師に相談しよう。

私的コメント
詳しくはαβ遮断薬です。
アロチノロールという薬剤が本態性振戦に対して保険適応があります。

重い症状だと、脳に電極を入れて微弱な電流を流す「脳深部刺激療法」といった外科的治療も受けられる。
 
震えが止まらないからと諦めないで日常生活に支障をきたしている人は、積極的に受診したい。
 
手の震えが出ていて油断ができないのは、病気の症状の一つとして現れるケースだ。
例えばパーキンソン病
脳の黒質という部分に異常をきたし、神経伝達物質ドーパミンの分泌が減る病気だ。
手足の震えに加え、筋肉がこわばる、動作が遅いといった症状が出る。
 
体内で甲状腺ホルモンが作られ過ぎてしまう甲状腺機能亢進(バセドウ病)は女性に多く、手が細かく震える、暑くないのに汗をかく、人前で話すと胸がドキドキするなどの症状がある。
脳梗塞でも、大きな発作の前に、手のしびれや震えが起きる場合がある。
 
手の震えをもたらす病気は他にも、脊髄小脳変性症多発性硬化症などがある。
手の震えに気付いたときに磁気共鳴画像装置(MRI)検査などを受けると、病気の早期発見や早期治療につながることもある。
パーキンソン病の場合、軽度のうちに治療を始めると、進行を遅らせることができると分かったという。
 
手の震えは癖のようなものだと軽視せず、早めに適切なケアや治療につなげよう。


まとめ 
<手の震えが頻繁に出る病気>
   他に症状がない場合
      本態性振戦
        ・動作時に起きやすい
        ・悪化しない
           ⇩
       生活改善で震えを緩和しよう
         ① ストレスをためずに。腹式呼吸などでリラックス
         ② カフェインなど刺激物やアルコールは控える
         ③ 薬の服用や外科的治療で症状を和らげる
   
   他に症状があれば
        ・手足がこわばる
        ・転びやすい
           ⇩
         パーキンソン病
     
        ・汗を多くかく
        ・動悸がする
           ⇩
         甲状腺機能亢進症(バセドウ病

  (脳梗塞多発性硬化症なども手の震えを伴う)


参考・引用
NIKKEI プラス1 2017.5.20


<関連サイト>
生活に多大な影響を与える震えの治療
https://medicalnote.jp/contents/160328-005-ZY

振戦(震え)とは?―いくつかのタイプに分かれる
https://medicalnote.jp/contents/160328-004-JV