糖質抑えて体重減らす

ご飯やパンの主成分 糖質抑えて体重減らす

期間・献立 意見分かれる
血糖値を高める糖質の摂取を減らして糖尿病の予防や減量に役立てる「糖質制限食」を取り入れる機運が広がり始めた。
特殊な食事療法ととらえられがちだが、専門家の間でも適切に利用すれば効果があると支持する見方が増えている。「減量が必要な人を対象に短期間なら」と、導入する際の条件も徐々に浮かび上がってきた。


うまく使えば現在のカロリー制限食と同じ効果がある。

糖質制限食は大きく2種類ある。
米国のアトキンス医師が考案したダイエット法に基づく厳しいやり方と、糖尿病患者でもある米国のバーンスタイン医師が提唱した食事療法だ。
炭水化物の食べる量を減らせばよく、食材のカロリー量を計算する面倒がない。
 
アトキンス医師は通常なら200~300グラムの炭水化物の摂取量を「1日20~40グラム」に、バーンスタイン医師は「同130グラム以下」を唱えた。
糖質は炭水化物から食物繊維を除いた主成分に当たり、摂取制限量はほぼ同じとみてよい。
医療機関や栄養士らで容認する声が増えているのは、バーンスタイン式の「緩やかな糖質制限食」の方だ。

私的コメント
糖質制限食」という話題が出た時に、日本糖尿病学会は、(学会が推奨する)従来の食品交換表に基づく食事摂取方法がベストであり「糖質制限食」に対して否定的でした。
学会での議論も「厳しい糖質制限食は必要か」という形のものでした。
当時から誰しもが「緩い糖質制限食」ならいいんじゃないかと心の中では思ったものです。
「厳しい」という言葉が恣意的に使われていらのです。
最近では「緩やかな糖質制限食」が容認されつつあるようですが当たり前といえば当たり前です。
なんでも「過ぎたるは・・・」です。

糖質制限食を取り入れた患者で(血糖値調整ホルモンの)インスリンの効きを悪くする内臓脂肪が減少する。
この結果、血糖値を管理しやすくなり、大きな利点となる。
 
配慮しなければいけない点もいくつかある。
診療の経験や論文情報などから利用者の肥満度、実施期間、糖質に代わり比率が高まるたんぱく質と脂質の食材の選択を主な注意点に掲げる。
 
【肥満の人が実施するのが望ましい】
糖質は筋肉に蓄えられ運動時のエネルギーや飢餓になったときの備えになる。
体内で糖質が不足すると筋肉などのたんぱく質を分解して糖を合成する反応が自然に起きる。
このため一般にやせた人に糖質制限食は適さない。
よく運動する人や力仕事の多い職種の人にも向かない。
 
日本では体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が25以上の人を肥満としている。
糖質制限食を利用できる人をBMI25以上と決めている医療機関もある。
 
【継続期間はおおむね半年間】
糖質制限食はカロリー制限食に比べ献立が楽で長続きしやすい。
しかしごはんや麺、パンの量が少なく、主食をたっぷり取り慣れた人には物足りなさが残る。
長く続けられないと、不満を訴える人もいる。
また1年ほど継続すると体重減少の効果がみられなくなり、悪玉コレステロール値が高まり動脈硬化の危険が増すとの調査があり、長期間の利用には消極的だ。
 
一方、糖質制限で減量し脂質や血糖値の改善が6年間維持された報告もある。
「1年以内」と糖質制限食に条件をつけて容認していた米糖尿病学会が期限を撤廃した動きなども踏まえ「長期の利用にも全く問題はない」と反論する専門医のいる。
 
国内に決め手となるデータはない。
今のところ半年なら問題なく受け入れ可能といえそうだ。
 
たんぱく質と脂質の食材の選び方も考慮】
糖質を減らす分だけ必要なエネルギーをたんぱく質と脂質に求めなければいけない。
動物性のたんぱく質を取る人ほど死亡率が高くなる報告がある。
糖質制限食を取り入れる場合は脂質やたんぱく質を動物性か植物性にするかがより重要になり、大豆や魚などの食材を選ぶようにした方がいい。
 
食事と健康に関する調査は常に不確定さがつきまとう
信頼性の高い結果を得ることが難しいからだ。
野菜を先に食べた後に糖質を取れば吸収を抑えられるとの調査があるし、いつ食事をするのが望ましいかを探る「時間栄養学」という研究からは、夜間に糖質を摂取すると脂肪に蓄積されやすいという結果が出ている。

糖質やカロリーとともに、味わい楽しむ食事を大切にする視点も忘れないようにしたい。

<関連サイト>
糖質制限食の内容や効果に対する質問に専門家が回答
日本生活習慣病予防協会の「食事指導に関するQ&A」
http://www.seikatsusyukanbyo.com/monthly/2013/seminar/qanda.php

参考・一部引用
日経新聞・朝刊 2014.9.7