偽痛風

痛風とは

痛風は「にせものの痛風」と示す通り、痛風とは似て非なる病気です。
 
痛風も偽痛風も、関節のなかに結晶が沈着することで関節が腫れて痛む病気ですが、結晶の種類が違います。
痛風は尿酸の結晶、偽痛風ではピロリン酸カルシウムの結晶が原因です。

高齢者に多い関節の病気
痛風は成人男性に圧倒的に多くみられる病気で、足の親指や足首におこることが多いのに対し、偽痛風は男女にかかわらず高齢者に多くみられ、膝や足首、手首などさまざまな関節におこります。
発熱を伴う場合もあり、変形性関節症という関節の老化に伴う痛みなどがある方にとっては、珍しい病気ではありません。
 
したがって、80歳以上の高齢者で、関節が急に腫れてくるといった症状がある場合には、まず偽痛風を疑います。
痛みのある関節をX線撮影し、関節内の石灰化か確認できると、偽痛風と診断されます。

関節の痛みは早めに受診を
痛風の治療には、痛みをやわらげる薬が用いられます。
飲み薬のほか、症状によっては関節内にステロイドを注入する場合もあります。
痛風なら尿酸を減らす薬を長期間服用すれば治まりますが、残念ながら偽痛風にはそのような根本的な治療法はありません。
したがって、関節に痛みが出た時に、痛みをやわらげる薬で対処することになります。
 
高齢化社会で増えている病気の一つですが、関節リウマチのように関節が壊れるといった重篤な症状が出ることは減多にありません。
高齢者で関節が急に腫れて痛むようなことがある場合は、早めにかかりつけ医を受診しましょう。

参考
日医ニュース 2018.11.5