肌の老化 8割が太陽光線

肌の老化 8割が太陽光線

雨の日でも日焼け止め / メガネ着用有効
太陽光線を長期間、無防備に浴び続けることで、皮膚にシミやシワ、たるみといった症状が現れることを「光老化」と呼ぶ。
肌の老化は加齢によるものと思われがちだが、原因の8割は光老化といわれている。
つまり、光の浴び方次第で年齢を問わず肌の老化は進む。
 
太陽光線は波長の短い方から紫外線、可視光線、赤外線に大別される。
光老化に影響を及ぼすのは、紫外線のB波(UVB)とA波(UVA)、近赤外線だ。
 
皮膚は外側から角層、表皮、真皮、皮下組織で構成される。
UVBは表皮に届き、肌が赤くなったり、ヒリヒリしたりする「日焼け」を起こすほか、
シミやソバカスの元になるメラニンの生成を促す。
UVBは表皮の細胞の遺伝子を傷つける。
その修復が何らかの原因でうまくいかないと、がん細胞が生じて増殖し、皮膚がんを発症することもある。
 
UVAが届く真皮には、肌のハリや弾力のもととなる膠原繊維(コラーゲン)や弾性繊維(エラスチン)が張り巡らされている。
UVAによるダメージが蓄積すると、その構造が壊れてシワやたるみが生じる。
近赤外線が皮膚の土台である皮下組織を傷付けることで、たるみが起こることも近年分かってきた。
 
紫外線の照射量は、年間のピークは7~8月だが、増え始めるのは3月から。
時間帯は午前10持から午後2時ごろまでが多い。
 
曇りや雨の日にも太陽光線の影響はある。
波長が長いUVAや近赤外線は通常の窓ガラスを透過するため、室内でも注意が必要だ。
皮膚の老化が気になるなら、光老化対策を日常の習慣にしたい。

太陽光線を物理的に避けるには、帽子や日傘を使う。
紫外線や近赤外線のカット効果がある衣服を着るのも対策になる。
紫外線は目にも影響を及ぼす。
紫外線カット効果があるメガネやサングラスの着用も有効。
大きめのフレームを選べば、目の周りのシミやシワ予防にもなる。

肌が露出する部位には、日焼け止めをまんべんなく塗る。
製品を選ぶ際は、UVBの防御効果を示す「SPF」と、UVAの防御効果の指標「PA」の表示を確認する。
日常生活ではSPF15、PA+で光老化の予防効果が確認されている。
 
ただ、日常的に日焼け止めを使っていれば安心とは限らない。
多くの人は適量の半分程度しか塗れていないからだ。
適量は皮膚1平方センチメートル当たり2ミリグラム。
顔の全面に塗るには500円玉を超えるくらいの量が目安だ。
日焼け止めに不慣れな人は、量が少なめでもカバーできるSPF30、PA++以上を選んだほうがよい。
比較的しっかり塗れて使用感が軽いジェルタイプがお薦めだ。
 
野外で長時間過ごすときはSPF50、PA+++以上を選ぶ。
汗をかいたり、体を拭いたりしたら塗り直す。
シミができやすい頬や顔の外側、耳の周囲、まぶたなどにはしっかり塗りたい。
老けて見られやすい手の甲や首にも忘れずに塗ること。
 
光老化は予防が可能だ。
対策はいつから始めても遅くはない。
年齢を重ねても清潔感のある肌を保ち、皮膚がんの発症を予防するためにも、日常的なケアを心がけたい。

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2019.3.16