果物、そのまま食べて健康に

果物、そのまま食べて健康に

果物は糖尿病の他、がんの予防に有効だ。
とくに、食道がんのリスクは、ほぼ確実に下がる。
胃がんや肺がんでもリスクが下がる可能性があるとされる。

アルコールは食道がんのリスクを増やすことが分かっているから、お酒が好きな私は意識して果物を取るようにしている。
しかし、飲酒の影響を果物でチャラにはできないので、誤解しないようにお願いしたい。

果物を食べている人では糖尿病のリスクは低下するが、フルーツジュースをたくさん飲む人では逆に糖尿病のリスクは上がってしまう。

フルーツジュースなど、糖を含む飲み物と発がんについての関係はこれまで報告がなかった。
しかし、今年の7月になって、砂糖入りの飲料の摂取とがんの発症リスクに関連があるという調査結果が発表され、話題となっている。

約10万人のフランス人(79%は女性)を対象としたこの研究では、砂糖入りの飲料と、がん全般および各臓器のがんの発症との関連を調査した。

試験参加者がオンライン上で回答した飲食記録をもとに、各自の1日の砂糖入り飲料(果汁100%ジュースを含む)の摂取量を計算。
最長で9年にわたる追跡調査から、砂糖入り飲料1日の消費量とがん発症の関連を調べた。

その結果、フルーツジュースを含む砂糖入り飲料を1日あたり100ミリリットル多く摂取すると、がん全般の発症リスクは18%上昇し、乳がんではリスクが22%上昇することが分かった。

健康的なイメージがある果汁100%のフルーツジュースでも、がん全般のリスクを12%高めることが確認された。
100%フルーツジュースにも、砂糖入り飲料と同じくらいの糖分が含まれている。
とくに、濃縮還元タイプの100%フルーツジュースでは、種類によって、加糖も認められている。

果物に含まれるβカロテンをサプリメントとして服用すると、肺がんのリスクがかえって上昇することが明らかになっている。
果物や野菜は、加工しないで、そのまままるごと食べることが一番よい可能性がある。

執筆 東京大学病院・中川恵一 准教授
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.8.28


<関連サイト>
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