がん検診

沢野文臣　日本画８号「池の端」
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がん（悪性新生物）は1981年以降わが国の死亡原因の第一位となり、その後も
がんによる死亡者数は増え続けています。
癌（がん）による死亡者はすべての死亡数に対する割合はなんと30％以上です。
３人に１人は癌で死んでしまう計算になります。
男女別では、男性の２人に１人、女性の３人の１人が、生涯もうちにがんを患う
とされます。
がんは老化とともに増加してくる病気です。
しかし、がんの３分の２は予防できるといわれており、たとえ発がんリスクの高い
基礎疾患や遺伝性素因を持っていても、食生活やライフスタイルを改善することに
より発がん過程を抑制できることが最近明らかとなってきました。

きょうは少し「がん検診」について考えてみましょう。
一般検診にも、ある程度（たとえば便潜血反応、胸部レントゲン、胃レントゲン、
PSAやCEAなどの腫瘍マーカー）の検査が組み込まれていることがあります。
それとは別に、がんの早期発見に的を絞ったのが「がん検診」です。
この検診にも、少額の自己負担で受けられる自治体検診やPETなどの高性能
の検査機器を使った高額な民間検診までいろいろあります。
自治体検診の場合は平日に行われため、働き盛りの世代の人はほとんど受診
しません。
住民の受診率は２割前後といわれています。
一方、民間医療機関のがん検診はCT、PET、MRI、超音波、腫瘍マーカー
など盛り沢山です。
ある統計では、自治体検診に比べて民間医療機関のがん検診は１０倍近く
発見率が高いといわれています。
国立がんセンターでの総合的ながん検診では、健康な４０歳以上の男女
のなんと4.8％に何らかのがんが見つかったとのことです。
民間医療機関の場合は、自治体検診の対象とならない頭頸部のがんも
発見できます。
確率論からいえば、発生頻度の高いがんは分かっている訳ですから、
まずはそれらのがんに注意することがコツといえます。
具体的には、胃、大腸、肺、肝臓、乳の五大がんです。

いずれにしろ、検診はあくまでも自覚症状が出る前の
「転ばぬ先の杖」です。
自治体検診と民間検診の長所・短所を理解して上手に検診を受けていただき
たいと思います。
なお、自覚症状がある場合には、保険診療による医療機関での検査を受ける
ことが出来ます。

参考資料　　日経新聞　朝刊　2007.10.14

国内で有効性が認められているがん検診
胃　　　　　胃エックス線検査
子宮頸部　　細胞診
乳房　　　　視触診+マンモグラフィー
肺　　　　　胸部エックス線+喀痰細胞
大腸　　　　便潜血反応
肝臓　　　　肝炎ウイルス検査

有効性が不明または認められない検診
胃　　　　　血清（ペプシノーゲン）検査
乳房　　　　視触診+超音波検査
肺　　　　　CT+喀痰細胞

がん検診は宝くじ
http://www2.inter-pro.ne.jp/~ina/image/kenshin.html
がん検診を希望される方へ
http://www.ncc.go.jp/jp/kenshin/kenshinkibo.html（がん検診の例として国立
がんセンターの検診を紹介します。）
大腸癌の二次検診について
http://www2.inter-pro.ne.jp/~ina/image/kenshin2.html
がん検診のご案内
http://www.gan-osaka.or.jp/kenshin/kenshinannai.html
（大阪がん予防検診センターのサイトです。わかりやすく説明されています。）
癌研有明病院
http://www.jfcr.or.jp/hospital/medical/facilities/total.html
日本メジフィジックス
http://www.nmp.co.jp/public/index.html
（PET検査についても説明されています。）
科学的根拠に基づくがん検診　推進のページ
http://canscreen.ncc.go.jp/
（各臓器別ガイドラインが紹介されています。かなり専門的な内容です。）
ＰＥＴ検診、がんの８５％見落とし…がんセンター調査
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060303ik07.htm
人気のPETがん検診にも“取りこぼし”
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/337/337127.html
公的がん検診の有効性
http://www8.cao.go.jp/monitor/answer/h15/ans1602-003.html
（厚生労働省の回答が載っています。）

前立腺がんの腫瘍マーカー（PSA）を検診に用いることの是非については最近
論争になっています。
これはPSAが無効というわけではなく、あくまでも検診でPSAを用いること
の是非についての論争です。

ＰＳＡ集団検診
http://wellfrog.exblog.jp/6944888/
（私の別のブログです。）
前立腺がん集団検診　「有効性」検証なき普及
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071008-
OYT8T00089.htm
前立腺がん、集団検診推奨せず…厚労省指針案
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070909-
OYT8T00068.htm?from=goo

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録http://wellfrog.exblog.jp/
葦の髄から循環器の世界をのぞくhttp://blog.m3.com/reed/200708