今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その13

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春日部洋   色彩のハーモニー 10号
http://page14.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s75270482?u=artwahaha



今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その12
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/11/14
の続きです

家森幸男先生の本からの
   紹介です。

「今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活」
家森幸男 著  生活人新書  
日本放送出版協会 発行

興味を持たれた方は是非、本でお読みください。
素晴らしい本です。

文明が長寿村を滅ぼす  その2


長寿村の崩壊  観光客や移住者が生活を変えた


ところが、そんな状況が大きく様変わりしてしまいました。
翌1987年に訪れたときも、舗装道路ができ、町との交通の便がよくなって
いて驚いたのですが、2000年、2001年と再訪したときには、事態は一変
しており、人びとの健康にも大きな影響を与えていることに言葉を失いました。
高血圧の人、コレステロール値の高い人、肥満の人が明らかに増えていたのです。
その変化たるや、わずか14年間で平均寿命が10年縮んだと予測されるほど
でした。

原因となったのは都会からの観光客や移住者でした。
長寿村との評判を聞きつけて、短期間のホテル暮らしをしたり、別荘をつくって
長期間滞在したりする人が激増していたのです。
物価の違いから月に40ドルもあれば暮らせますから、アメリカ人なら少しおカネ
をためて来れば、安くて身近な食べ物がただ同然で食べられ、まさに桃源郷のよう
な生活を送ることができます。
「この村に住めば、それだけで長生きできる」と考えたのではないでしょうか。
住む場所がどこであろうと、都会の生活を持ち込んで、それ
までと同じような食生活をしていたのでは、長寿になれるわけはありません。
その勘違いが、何百年もの伝統が支えてきた長寿村の生活を、瞬く間に崩壊させて
しまったのです。

まず、村人の生活が根本から変わりました。
以前は村のすぐ近くに畑があり、牛も全部村の中で飼っていて、人々は毎日体を動かし、
汗を流して働いていました。
しかし、
2000年の検診のときには、観光客や移住者目当てのレストランや土産物店が立ち
並び、一日中座ったまま、店番をして暮らすようになりました。
さらには、道路が舗装され、車が発達したこともあり、歩かない人が増えてきていた
のです。
いちばんの問題は、食生活の変化でした。
お客さんを逃がしてはいけませんから、かつてのように毎日芋や野菜、果物をとりに
行ったり、乾燥させたトウモロコシをいちいちふやかしたり、三日前から豆を浸けて
おいて柔らかくして食べたりといったのんびりしたことはしていられません。
手早く食べられるものとしてバンが普及しました。
しかも、パンの生地に、豚を多く処理してとれるあり余るラードを全部放り込みます。
たしかにラードの入ったバンはおいしいですが、油のとりす
ぎにつながることはいうまでもありません。

その食生活の変化を象徴するのが電気炊飯器です。
最初に訪れたときは一台もなかったのに、電気が普及したこともあって、2000年
にはほとんどの家庭で見られました。
これさえあれば、忙しくても簡単にご飯を炊いて食べられます。
しかし、問題なのはその炊き方です。
現地の米はインディカ米で、水で炊いただけではパサパサしておいしくありません。
そこで、米と一緒にラードと食塩を入れ込むのです。
あとはスイッチを入れさえすれば、おいしいチャーハンの出来上がり。
私たちの世界調査で米を食べている地域では肥満が少なく、心筋梗塞が少ないという
データを得ていますが、それはとくに日本のように淡白なご飯で食べた場合です。
ご飯でもラードや食塩を入れれば、健康によくないのは明らかです。

主食の変化は何よりも健康に影響します。
ビルカバンバの場合、新鮮なユッカと乾燥トウモロコシが、油と食塩にまみれた
パンとチャーハンになったわけですから、これがまさに肥満を増やし、短命化を
促したといえます。

豚肉も、かつてとは比べものにならないほど消費するようになりました。
しかし、以前の、肉が貴重だったころと変わらず、脂まで徹底的に利用する習慣は
変わっていませんから、大量のラードが村人の胃袋へと収まります。
また、町から入ってくる白砂糖に押され、サトウキビからの黒砂糖づくりは産業
として成り立たなくなりました。
しかも、甘いものが好きなので、コーヒーには溶けきらないくらいの砂糖を入れます。
果物に砂糖をかけて食べる習慣まで広まってしまったのです。

さらには、都市化が進んだ村の中では牛が飼えなくなったため、自宅ではケシジョ
もつくれなくなり、外から入ってくるものを買って食べるようになりました。
遠くの村から運ばれてくるチーズには、当然、食塩が入っています。
食塩の味に慣れると、そちらのほうがおいしく感じてしまうも
のです。
本当に、何から何まで、悪いほうへと食生活が変わってしまっていたのです。

<コメント>
いかに食生活が大切かということがわかります。
食事は薬と違って毎日変わります。
薬は飲み忘れる日があっても3度の食事は普通忘れる人はいません。
食事が薬より大切な場合が生活習慣病の場合には多いにありうることです。
しかし薬も大切なことはもちろんです。

最近薬は飲みたくないという人が患者さんがみえます。
マスコミがたきつけた医師に対する不信感を持って来院される患者さんです。
「何のために来院したんですか」と聞きたくなることもありますが、黙っています。
相手は分別のある大人の患者さんです
私も歳をとって来たので、説き伏せる情熱も左程ありません。
タバコを吸う人も必ず理屈をいいます。
心の中では「自業自得です。どうぞご勝手に。」
こちらも時間の無駄です。
そんなことで消耗したくはありません。

最近は、さほど強くはそれらの考えを否定しないことにしています。
それぞれの生き方や人生観があるわけですから。
心の中で「可愛そうに」と念じながら。

そんな、こちらの気持ちが通じるといいのですが。

このブログを見ていただける方はそんなことはないと思います。



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