今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その12

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久保嶺爾(日展会友) 紅葉の秋20号
http://page21.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/j8514913?u=artwahaha


先週の
今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その11
   の続きです
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/11/10

家森幸男先生の本からの
   紹介です。

「今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活」
家森幸男 著  生活人新書  
日本放送出版協会 発行


興味を持たれた方は是非、本でお読みください。
素晴らしい本です。

文明が長寿村を滅ぼす  その1

理想的な長寿村の食生活


世界の長寿地域といえば、南米エクアドルのビルカバンバを忘れてはなりません。
赤道直下ですが海抜1500メートルなので気候は温暖、野菜や果物も豊富にとれます。
私たちも早い段階から調査地域の一つと考え、ビルカバンバから島根医大に医師を招待し、
脳卒中ラットの研究に加わってもらっていました。
幸い、ビルカバンバには星薬科大学名誉理事長だった故・大谷孝吉氏が多大な支援をして
できた大谷孝吉病院があり、親日家の多い土地柄です。
その病院を現地の拠点と決め、1986年にエクアドルに向かいました。

中略

冷や汗をかきながらたどり着いたビルカバンバでしたが、そこには、「さすがは長寿の村」
と思わせることがいくつもありました。

まず、よく歩くこと。
お年寄りのなかには、毎日山道を越え、往復6時間もかけて検診に来る人もいました。
車などの移動手段がないので、日常的にそれだけの運動量をこなしています。
ですから、太っている人などはほとんど見かけません。

主食はユッカという芋とトウモロコシで、植物繊維とカリウムが多く含まれています。
ユッカは毎朝畑から掘ってきて蒸し、トウモロコシは乾燥させておいたものをふやかして
食べます。
手間はかかりますが、保存させるための食塩を使わない、実に健康的な食べ方です。

村一番の名物料理は、「クエ」というモルモットの姿焼きです。
来客時などのご馳走用として出されるものですが、台所の下でちょろちょろしているのを
つかまえ、ゆでてから毛をむしりとって裸にしてゆっくり火であぶり焼き上げます。
感心したのは、内臓を、腸を外す以外は肝臓も心臓も肺も、脳までもすべて食べてしまう
ことです。
内臓にはタウリンが多く含まれています。
タウリンは血圧もコレステロールも下げ、脳卒中の引き金となる血管の過激な炎症反応も
防いでくれます。
そんなタウリンを、魚ではなく動物の内臓をきちんと食べることでとり入れていました。
ですから、牛や豚の肉を食べることはあまりありません。
ただ週に一度、土曜日にだけ豚を数頭処理して、住民みんなで分け合って食べます。
貴重な動物を処理する場合は、肉はもちろん他の部分も徹底的に利用しようと、内臓は
ドラム缶に入れて炊き、浮いてきた油はすべてラードとして固めていました。
残った腸などは短冊状に切り、子どもたちがチューインガムのように噛(かんでいます。
それは、貴重な動物の肉からできるだけの栄養をとろうという知恵でした。

そして、重要な蛋白源となっていたのは、「ケシジョ」と呼ばれるチーズです。
新鮮なミルクを、食塩を入れずに牛の十二指腸から出るエキスで固めたものです。
スープをはじめ、さまざまな料理に入れて食べることで、脳卒中を防ぐための大切な栄養素
の一つである蛋白質が、ナトリウムの害を受けずにとることができます。
山の中の生活ですから食塩を使った保存食もありましたが、それを十分に打ち消すだけの
豊富な野菜と果物を、毎日とれたての新鮮な状態で食べていました。
冷蔵庫がなかったから仕方のない面もあったのでしょうが、逆にそれが健康にはうってつけ
の状況をつくりだしていたのです。

そのほか、チョチョスという豆や、粟や稗といった穀物もたくさん自生し、蛋白質はもちろん、
カルシウムやカリウム亜鉛などのミネラルも十分に摂取していることがわかりました。
また、サトウキビづくりを生業(なりわい)にしている家が多く、ロバに石臼を挽かせ、
汁を絞って黒砂糖をつくっていました。
こうした生活が体によいことは尿のデータからも明らかで、まさに理想的な「長寿の村」
と私たちの目には映ったものでした。

<コメント>
他の長寿国に目を向けていろいろなことを学ぶことはとても大事です。
日本は世界一の長寿国です。
それでも国内では健康食品や健康にいいというさまざまなグッズを求める人達で一杯です。
しかし、何故日本は世界一の長寿国になったのか。
そして10年後、20年後にはどうなっているのだろうか、と考えることはとても大切な
ことです。
意外とそういった研究や今後の予測がされていないのが現状です。
案外、昔(といっても戦中、戦後)の粗食(?)がよかったのかも知れません。
そして長寿国日本の中の長寿県の食生活を研究することが近道です。
お手本は身近にあるのですから。
英国では肥満の人が急増して対策が急務となっています。
そして沖縄県は長寿県から脱落しました。
ヒントはそういったところにあります。

諸外国では日本にならって魚ブームだそうです。



前日「がんもどき」をとりあげました。
たまたまこんなエッセイが出ていましたので紹介させていただきます。

週刊朝日2007.10.19
連載999
「あれも食いたいこれも食いたい」 東海林さだお   より

<苦境に立つ厚揚げ>
厚揚げを見るたび「気の毒」という気がしてならない。
容貌の良し悪しは本当は口にしてはいけないことなのだけれどもまず容貌がよくない。
色が黒い。
本当は茶色なのだが、まっ白な豆腐と比べると黒いと言わざるをえない。
厚揚げは元はといえば豆腐である。
そのまっ白な体を柚で揚げたば
っかりに茶色くされてしまった。
気の毒である。
しわが寄っている。
体の線がくずれている。
これだって元はみずみずしい肌だったはずで、体の線もピンと張 りつめていたはずだ。
気の毒である。
厚揚げは豆腐一家の三兄弟の一人として生まれた。
厚揚げ、がんもどき、油揚げの三兄弟である。
厚揚げが長男だということになっているらしいが真偽のほどはわからない。
ほかの二人と比べるといかにも凡庸な感じがするので、長
男説は正しいかもしれない。
長男の甚六。
なんだかぼうっとしている。
茫洋とした感じもある。
いまはやりの鈍感力という点では三兄弟の中で一番秀でて
いるのではなかろうか。
厚揚げ長男、二男がんもどき、三男油揚げといったところだろうか。
三男の油揚げは末っ子だけに目端が利く感じがする
小才もききそうな気がする。
気働きもある。
実際、小まめにあちこちに出向いて様々な仕事を器用にこなしている。
味噌汁の具にはなくてはならない存在であり、稲荷ずしに至っては主役を演じている。
二男のがんもどきは、各方面で活躍するというタイプではないが、おでん界では押しも
押されもせぬ重鎮である。
がんもどきがなかったらおでん屋は成り立たない、とまで
言われる大立者である。
というふうに考えてくると、長兄としての厚揚げの立場は
苦しい。
こういう言い方をするのはとても心苦しいのだが、いったい厚揚げに存在理由はある
のだろうか。

以下略


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