PAI-1(パイワン)

PAI-1(パイワン)という言葉を聞かれた方はおみえですか?
最近しばしば新聞にも出て来るようになった言葉です。
「P」はプラスミノーゲン、「A」はアクチンベータ、「I」はインヒビーターという意味です。
内臓脂肪から分泌される悪玉アディポサイトカインの代表です。

PAI-1は、血液中で血液を固める作用のある血小板と結合して、出血箇所を修復します。
したがって、過剰に分泌されると、血液の塊(血栓)が出来やすくなる危険な物質です。

組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の活性を消失させ、線溶系を抑制するポリペプチドで敗血症、動脈硬化等になると高値を示します。




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出典 朝日新聞・朝刊 2010.3.2
版権 朝日新聞社



内臓脂肪は全くない方がいいのかという疑問が生じます。
しかし内臓脂肪も悪いことばかりはしていません。
適量で質の良い内臓脂肪は、かえって健康・長寿に役立ってくれるます。
それが、アディポネクチン」です。

アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌される生理活性物質(サイトカイン)の1つです。
作用が分かってきたのは、最近のことです。
血管の炎症を抑えてしなやか・なめらかにし、コレステロールが必要以上に蓄積されるのを防いでくれるのです。
脂肪、それも内臓脂肪から分泌されるのですが、適度な脂肪を貯めている状態、言うなれば「健康な脂肪細胞」からのみ作られます。
肥満状態になると、分泌量が低下することが確認されており、血圧・血糖値・中性脂肪値を正常にすると、アディポネクチンの分泌が増えます。
また、最近の研究で、アディポネクチンには、大腸がん・胃がんをはじめ「がん予防」の作用もあると考えられるようになってきました。
いわゆる「いい者」なのです。

脂肪細胞からは、ほかにも「PAI-1」「TNF-α」などと呼ばれる物質が分泌されています。
れらは、言うなれば「悪玉物質」。
脂肪過多・肥満になると分泌が多くなってくるとされます。
すなわち、メタボリック・シンドロームの方は、アディポネクチンよりも「PAI-1」「TNF-α」の分泌の方が多くなっていると考えられます。

<まとめ>
【善玉物質】
「アディポネクチン」……血管の炎症を抑えてしなやか・なめらかにし、コレステロールが必要以上に蓄積されるのを防いでくれる
【悪玉物質】
「PAI-1」……血液を固まりやすくさせ、血栓を作りやすくする
「TNF-α」……血糖値を上げ、糖尿病の危険を高める

<関連サイト>
体脂肪ってこうやってつくのか!
http://nh.nikkeibp.co.jp/article/special/20100415/106729/

CRPの増加と血中PAI-1の増加
http://naisousibou.com/54/83/000571.html

PAI-1 (プラスミノーゲン活性化抑制因子)
http://mh.rgr.jp/memo/mz0231.htm


線溶系の概略
http://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~eiyo/fibrinolysis.html
(ちょっと専門的な内容になっています)

善玉アディポネクチン:内臓脂肪.net/内臓脂肪の燃焼・ダイエット
http://www.内臓脂肪.net/アディポネクチン.html
(上記文章でも一部引用)

<自遊時間>
いよいよGWが本格的に始まります。
何とか天気もよさそうです。
皆さん十分リフレッシュして下さい。




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