夏はニキビに注意

夏はニキビに注意 1日2回しっかり洗顔

汗をかきやすい夏に悪化するニキビ。
節電のためエアコンの温度設定が高めになった今夏、ニキビができやすい人の悩みは大きい。
対処を誤るとニキビ跡が残ってしまうこともある。
夏にできやすいニキビの予防とケアにはどんなものがあるだろうか。


ニキビは顔面や胸の上部などにある小さな毛穴にできる皮膚症状だ。
この毛穴にある皮脂腺からは皮脂が分泌され、肌を健康な状態に保っているが、ホルモン分泌量の変化によって皮脂の分泌が増えると、酸化した皮脂などの影響で皮膚表面の角質層が厚くなり、皮脂の出口が詰まって毛穴が盛り上がる。

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この状態を一般には白ニキビ、専門家は面ぽうと呼ぶ。
通常は皮膚の表面にすみ肌を弱酸性に保つ働きをしているニキビ菌(アクネ菌)が、面ぽうの内部に入り込み増殖、炎症を起こして腫れた状態がいわゆる赤ニキビだ。

小学校高学年から中学校、高校にかけての思春期には、男女とも一時的に男性ホルモンの分泌が高まることがニキビの原因の一つだ。青
春のシンボルとも呼ばれるが、大人でもストレス、睡眠不足などの生活の乱れ、高脂肪の食事などが原因で起こる。青少年では額、鼻筋などに多発するのに対して、大人のニキビは頬や顎などにできやすいという特徴がある。

気温の上昇とともに悪化しやすいのもニキビの特徴だ。

ニキビ治療に積極的に取り組んでいる虎の門病院(東京都港区)皮膚科の林伸和部長は「夏に悪化する理由はまだ解明されていないが、紫外線や気温上昇の影響によって皮脂の分泌が増加するとともに、皮膚表面の角質層が肥厚し、毛穴をつまらせやすくなることが主な原因と考えられる」と話す。


跡が残ることも
赤ニキビに至ると、見た目を損ね患者の生活の質を損ねるばかりか、皮膚の深い部分までダメージを受けて、跡が残ることもある。
早めの治療が大切だ。

かつて皮膚科医が治療していたのは赤ニキビの段階からだった。
医療用の針を用いて毛穴のなかのうみや脂肪を取り除いた上で、抗生物質の塗り薬で炎症を抑える治療だ。

ところが、3年前に新薬が登場し治療の状況が変わった。
林部長は「ビタミンAに似た作用を持つアダパレンという成分を含んだ新薬を、面ぽうの段階から塗ることで、赤ニキビへの移行を予防できるようになった」と話す。

日本臨床皮膚科医会では、アトピーや皮膚感染症の対策を目的に、学校で生徒たちへの直接指導に力を入れてきたが、新薬が広く認められたことをきっかけに、正しいニキビケアの啓蒙活動にも力を入れている。

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こすらないこと
岡村皮フ科医院(東京都小金井市)の岡村理栄子院長は、「新薬の登場で、子供たちの願いにしっかり応えられるようになった。ニキビになったら皮膚科を受診するという認識を持ってもらうことで、重症化する可能性のある子供には薬を使用し、軽症の子供に対する生活指導もしっかり行えるようになった」と話している。


ニキビ対策の基本は1日2回の洗顔だ。
岡村院長は「注意したいのは、こすらないこと。丁寧に洗おうと洗顔剤をつけたガーゼでこする場合もあるが、肌を傷つけて跡が残りやすい。泡立てたせっけんを、手でやさしく押さえるようにして、しっかり洗うのがコツ。拭き取るときも、タオルを上からやさしく当てるといい」と話す。

こうした対策は大人のニキビでも有効だ。
林部長は「ただ、子供は肌の乾燥に注意する必要がないのに対して、大人では乾燥がニキビの原因になる場合もある。洗顔後の保湿にも気をつけたい」と話す。

ニキビは、肌にプツプツとした白ニキビができた段階で、皮膚科医に相談するといいだろう。
生活改善などでケアできる場合と、薬による治療が必要な場合を、早期に見極めることが大切だ。


化粧も悪化の要因に
化粧は基本的にニキビの悪化要因で注意が必要だ。
岡村院長は「青少年の場合は、ニキビができているときはファンデーションの利用を中止してもらう。しかし、大人では化粧をしないことが社会的に不利になることもあるので、最近では、ニキビを悪化させない工夫をしながら化粧をするようアドバイスしている」と話す。

例えば、基礎化粧品では、ニキビの元になる面ぽうの状態を悪化させない成分であることを示す「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されたものを使用する。
ファンデーションも毛穴をつまらせにくいパウダータイプを軽めにつけるといい。

林部長は「目や口のまわりにはニキビができにくいので、目や口元にポイントを置いたメークを行うことで、ニキビを目立たなくすることもできる」と話している。 (ライター 荒川 直樹)

出典 日経プラスワン 2011.7.23 (一部改変)
版権 日経新聞




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