今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その15

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菊池健蔵   油彩100号 湖
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t52874987


家森幸男先生の本からの
   紹介です。
「今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活」
家森幸男 著  生活人新書  
日本放送出版協会 発行

興味を持たれた方は是非、本でお読みください。
素晴らしい本です。

きょうは
今110歳まで生きられる! 脳と心で楽しむ食生活 その14
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/11/16
         の続きです。

文明が長寿村を滅ぼす  その4

食生活の崩壊を体験したアポリジニ

こうしたことをマサイ族よりも以前から経験してきたのがアポリジニです。
オーストラリアの先住民族である彼らは、文明化による伝統的な食生活の崩壊を100年以上
も前から受け、短命への坂道を転げ落ちてしまいました。

彼らはかつて、海岸沿いの肥沃な土地に暮らし、移動しながら木の実を拾い、海の幸をとって
食べるという狩猟採集民の生活を送っていました。
しかし、18世紀以来、ヨーロッパからやって来た入植者たちが、そんな生活をアポリジニから
奪ってしまいます。
彼らは、アポリジニが移動しながら暮らしていた土地を、定住していないからかまわないという
理由で次々に自分たちのものとしていきました。
略奪や虐殺が繰り返され、病原菌も持ち込まれて、アポリジニの人口は激減していきます。
そして、保護という名のもと、決められた居留地に押し込められ、生きるために必要なもの
として与えられたのが、小麦粉、食塩、ラード、砂糖でした。
狩猟生活を送っていた彼らは、マサイ族と同様、倹約遺伝子(注)をもっていたと考えられ
ます。
そんな彼らが、居留地から動くこともなく、ナトリウムや脂が過剰な食事を続けていけば、
そこに肥満と短命が待っていることは明らかでした。
しかも、労働力不足という問題を抱えていた入植者たちは、居留地にいる子どもたちを、
衛生環境状態が悪いとして都市へ連れてきます。
そして施設に入れて教会に面倒を見させ、女の子は家事の下働きに、男の子は牧童などとして
労働に従事させるようなことがありました。
そんな歴史が1960年代まで続き、アポリジニは精神的にも肉体的にも大きなダメージを
負ってしまったのです。

世界的な調査を始めた1980年代の初めから、食生活の崩壊が健康に甚大な影響を与えている
アポリジニの調査を私たちは強く望んでいました。
オーストラリアの女医の方が発表した、アポリジニたちを都会から解放して狩猟生活に戻した
ところ健康になったという報告に注目し、その方にお願いして共同研究をしようとしたのですが、
肝心のアポリジニの協力が得られませんでした。「尿は人には渡すものではない」と頑なに
断られてしまったのです。
半ばあきらめかけていたのですが、時が経ち、希望が生まれてきました。アポリジニのなかに
教育を受けて栄養士になる人も出てきたという話を聞き、その方を日本に招待し、
日本の食生活を見てもらったのです。

日本も縄文時代にはアポリジニと同じ狩猟と採集の生活を送っていました。
それを証明するのが貝塚です。
アポリジニが以前住んでいた海岸沿いの土地には、日本にあるものと同じような貝塚がいくつも
ありました。
もしかすると、両者は共通の祖先をもっているのかもしれない。
そんな日本人が、今も当時と同じ島で暮らし、魚を食べる生活を続けている。
だからこそ、日本人は健康でいられる・・・・・そう説明すると、こちらの気持ちが先方にも
通じました。
アポリジニの伝統的な食生活こそが健康的で、それを変え
たところに現在の不健康の原因があるのであれば、一緒に調べたいという気持ちになって
くれたのです。
こうして調査が実現したのが2004年。
世界的な調査を始めてから、実に20年の月日がたっていました。


<コメント1>
きょうの話ではアポリジニと長寿の関係はわかりにくいと思います。
アポリジニが18世紀以前には長寿だったかどうかはわかりませんが、入植者たちによって
「ナトリウムや脂が過剰な食事」にさらされるようになり健康が害されるようになったという
お話です。
明日は、そういったアポリジニが食生活の改善によってどう変わったかという話です。

<コメント2>
今年は今までになくインフルエンザワクチンの接種に来院される方が多く来院されます。
おそらく開院以来最高のペースです。
来院される方から「もう北海道や沖縄では流行が始まっているそうですね」ということを
聞きます。
直接ニュースで聞いたわけではなかったので実感がわきませんでした。
今朝、ニュースで北海道、東京、沖縄で流行が始まったというニュースを見ました。
例年より1か月半近く早い流行とのことです。
Aソ連型だそうで、近年ない型ということで抗体保有者が少なく大流行の可能性があると
開業医がインタビューで答えていました。
日本医師会理事も大流行のきざしとインタビューに答えていました。
患者さんより遅くこのような情報を知る。
そして日本医師会の会員である私が、日本医師会理事のインタビューの情報をテレビで
初めて知る。
考えてみれば間の抜けた話です。

私自身、ネットや新聞を通じていろいろな情報収集に網をめぐらしているつもりです。
しかし、日本医師会から直接情報が入るわけでもありません。
東京で感染が起こればすぐに全国に広がるといわれる時代です。

新型インフルエンザや新興感染症が流行しだした場合、どのようにして最前線の医療
現場に情報が伝えられるのか。
そのマニュアルもありません。
患者さんから医師がインフルエンザ流行の情報を得る。
危機管理の甘さは医療現場にもあるのです。

一度医師会や厚労省のHPなどをチェックしてみます。


医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 
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