皮膚から万能細胞 その1

イメージ 1



皆さんもすでにご存知のことと思いますが、すごいニュースが飛び込んで来ました。
将来のノーベル賞間違いなしという研究成果が発表されました。
きょうはどのくらいすごいかという世界の反響を載せてみました。

皮膚で万能細胞「画期的な技術」・海外メディア反響

「多様な病気の治療に役立つ画期的な技術革新だ」(英BBC放送)。欧州のメディアは21日、
日米の研究チームが人の皮膚細胞から「万能細胞」を作ったことを大きく報じた。
BBCは「倫理面で論争の的だった人の受精卵に頼らずに、より簡潔に万能細胞を手にする
ことができる」と指摘した。

英紙タイムズはほぼ1ページをあてて「パーキンソン病や糖尿病の将来の治療に役立つ」
などと解説。
独紙フランクフルター・アルゲマイネも1面で取り上げ、バイオ技術は転換点を迎えた
と説明した。

英国では世界初のクローン羊「ドリー」を作ったイアン・ウィルムット教授が受精卵から
取り出した細胞を利用するクローン技術をやめる意向をすでに表明している。
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/index.cfm?i=2007112200285b3


米政府、「皮膚から万能細胞」の研究支援

ホワイトハウスのペリーノ大統領報道官は20日、ヒトの皮膚の細胞を使って、体の様々な
組織に育つ「万能細胞」を作る研究が成功したことを受け「ブッシュ大統領は倫理に沿った
研究の前進を非常に喜んでいる」との声明を発表した。
米政府として支援も約束した。
バイオ研究の先頭を走る米国が本腰を入れれば、臓器などの再生医療が進みそうだ。

大統領はヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使った研究に反対しており、研究を
連邦予算で補助する法案に拒否権を二度も発動し、廃案に追い込んでいる。
皮膚を使った万能細胞は京都大学ウィスコンシン大学が成功。
大統領はES細胞と異なり、受精卵を壊さなくても済む点を評価、即座に支持を
打ち出した。
2007/11/23 08:30
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/us/20071121D2M2100S21.html


万能細胞の成功を称賛 ローマ法王庁立アカデミー

【ローマ23日共同】
京都大と米ウィスコンシン大がそれぞれ人の皮膚から万能細胞をつくったことについて、
ローマ法王庁バチカン)の生命科学アカデミー所長でカトリック聖職者のスグレッチャ氏は
「人(受精卵)を殺さず、たくさんの病気を治すことにつながる重要な発見だ」と称賛した。
22日、ウェブ版バチカン放送が伝えた。

法王庁は、生命は卵子が受精したときに始まるという考え方に立ち、受精卵を壊してつくる
胚性幹細胞(ES細胞)による研究に強く反対してきた。
法王庁の公的機関の長が、今回の研究を論評するのは初めて。

スグレッチャ氏は「(受精卵を壊す)これまでの研究方法は『人を助けるために人を殺す』
という考え方に立った、誤った科学と言える」とした上で「日本人と米国人はわれわれの声
を聞いてくれ、研究に成功した」と話し、科学者たちの努力をたたえた。
2007年11月23日 08時46分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2007112301000047.html

<コメント>
どのくらいの反響があったかはわかりますが、実際に医学応用でどんなことができるかが
このニュースからは今一つピンと来ませんね。
近い将来にどういう臨床応用が出来るかがはっきり理解できればそのすごさが実感できる
わけです。
他の医学分野についてはよく分かりませんが、私の専門分野の循環器領域でもES細胞で
研究している研究者が多数みえます。
研究続けるんでしょうか。
イアン・ウィルムット教授が現在の研究をやめるとのことですし、今まで最先端だった
この分野の研究も一気にに色褪せてしまいました。
ちょっと心配になってしまいます。
研究ってある面残酷ですね。
もちろんなれませんが、つくづく研究者にならなくてよかったと思います。

日米同時の発表。
このタイミングは日米共同研究だったのでしょうか?競争研究だったのでしょうか?

その点についてはまた後日ということで。

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)