皮膚から万能細胞 その2

イメージ 1

大沼映夫 油彩10号 国際形象展出品作
http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n60790042


の続きです。
画期的な研究が日本から発信されたにもかかわらず日曜の1週間を振り返るニュースでも
あまりとりあげられていませんでしたね。
データ捏造がされた某隣国での大騒ぎとはえらい違いです。
この研究に京大の研究グループがどのくらい研究費を国から交付されていたんでしょうか。
諸外国に比べて少ない研究費だったんではないでしょうか。
少なくとも国側はルール作り云々といった冷静なコメントも結構ですが、しっかりと
優れた研究には、経済面も含めてバックアップしていただきたいと念じます。
政府もマスコミもこの研究のすごさがどのくらい理解出来ているのか大いに疑問です。

捏造といえばまた関西の某大学(いつも同じ大学です)がやってくれました。
(新聞の片隅に、以前に米国一流紙に出した論文の払い下げの記事がでていました。)


難病の解明や新薬にも期待

iPs細胞の再生医療での臨床応用を山中教授は「数年以内」とみているが、期待
されるのはこの分野だけではない。
病気のメカニズム解明や新薬の開発、副作用の検証などにも役立つ。

万能細胞を新薬開発に応用するアイデア自体は以前からある。
新薬開発は膨大な数の候補物質の中から効き目が高くて副作用の少ない物質を見つけ
出す作業が必要。
動物実験や人での臨床試験に着手する前に、万能細胞から作った人体組織で検証して
候補物質を絞り込めば、薬の開発コストや時間を大幅に削減することができる。

日本ではアステラス製薬田辺三菱製薬などの研究者が参加して組織する特定非営利
活動法人の幹細胞創薬研究所(京都市)が、ES細胞を使った研究をすでに開始。
英国でもグラクソスミスクラインアストラゼネカ、スイスのロシユなどが参加する
大型プロジェクトが始まっている。

一方、iPS細胞ではこれからだが、ES細胞と違い、患者と同じ遺伝子の組織や臓器
を作れる利点がある。
薬の実験材料としては理想で、これまで打つ手のなかった難病の治療薬開発やメカニズム
解明を後押しする効果が期待される。
投薬する前に、患者のiPS細胞から組織を作り副作用を検証するなどの使い方も考え
られている。

日経新聞・朝刊 2007.11.23



「万能細胞」の培養成功にも、一定のルールが必要。岸田科学技術担当大臣。

2007年11月22日 22:32
京都大学山中伸弥教授らの研究チームが培養に成功した「人工多能性幹細胞
いわゆる「万能細胞」に対し、岸田文雄科学技術担当相は、22日の会見で、
同成果を高く評価したうえで、「今後の研究を進める上には一定のルールが必要」
との提言を行った。

今回、山中教授らが作り出すことに成功した「万能細胞」は、患者の皮膚から移植用の
組織を作ることにより、拒絶反応のない再生医療を可能にすると期待される。
これまで研究の主流となっていたES細胞のように、人の受精卵を必要としないことから、
倫理的な論争を回避できる点もこの「万能細胞」の大きな特長だ。

研究の成果は米国の科学誌で発表され、欧州のメディア各社も「画期的な技術」と
大きく報じた。

岸田科技担当相は、「わが国からこうした成果が出たことは喜ばしい。
再生医療の発展に大きな可能性を切り開いた」と高く評価。
その上で、「研究を円滑に推進するため、特に臨床研究の進め方のルールづくりなど、
関係者と連携して政府としてやるべきことを確認したい」と今後の研究に一定のルールが
必要であると提言した。
http://japan.techinsight.jp/2007/11/200711222232.html

大人の皮膚から万能細胞…京大教授ら成功、再生医療期待

2007/11/21 10:31
大人の皮膚細胞に4種類の遺伝子を導入するだけで、ほぼ無限に増殖し、神経や筋肉、
骨などのあらゆる細胞に変わる胚(はい)性幹(ES)細胞(万能細胞)に似た
「人工多能性幹(iPS)細胞」が作り出された。
京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らが21日、米科学誌セルの電子版に発表した。
新薬開発に役立つほか、再生医療を実現する最有力手段になると期待される。

1998年にヒト受精卵からES細胞を世界で初めて作った米ウィスコンシン大の
ジェームズ・トムソン教授らも同日、ヒト皮膚細胞に半分違う4種類の遺伝子を導入
してiPS細胞を作成したと米科学誌サイエンス電子版に発表した。

従来、脊髄(せきずい)損傷などの再生医療の実現にはES細胞を使う方法が有力視
されてきたが、赤ちゃんになる受精卵を壊す倫理問題があり、世界的に反対論や
研究規制があった。

また、神経などに分化させた細胞を患者に移植した際の免疫拒絶反応を避けるには、
患者の体細胞核卵子を組み合わせたクローン胚からES細胞を作る必要があるが、
韓国ソウル大教授らが発表した「初成功」は捏造(ねつぞう)と判明。
卵子の入手難もあり、サルでしか成功していない。

山中教授らは昨年8月、マウスの皮膚の線維芽(せんいが)細胞に遺伝子全体の
司令塔役となる「Oct3/4」や「Sox2」など4種類の遺伝子をレトロウイルス
を使って導入し、iPS細胞を初作成したと発表。培養法や添加物を工夫してヒトでも成功し、
マウスの皮下に移植するなどして、神経や腸管、拍動する心筋などの細胞に変える
ことができた。
ただし、再生医療応用には、がんの原因になるレトロウイルスを使わない方法を開発する
必要がある。

山中教授は「マラソンだとゴールが見えた感じで、再生医療研究が一気に進む可能性がある。
でも日本がそのままゴールできるか分からない。
『国立幹細胞研究所』のような体制が必要だ」と話している。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20361494,00.htm

万能細胞

「不老不死」は古来、人類の夢だったか。古事記などに登場する伝説上の人物、田道間守
(たじまもり)は天皇の勅を奉じて常世の国に赴き、不老長寿の薬とされた
「ときじくのかくのこのみ」を持ち帰った。

▲ 中国にも似たような伝説がある。不老長寿の仙薬を求めていた秦の始皇帝は徐福という
人物に命じ、東方海上にあって仙人が住むという蓬莱(ほうらい)山に向かわせている。
仙薬を手に入れられなかったのはいうまでもない。

▲ 最近の再生医療の進歩はすさまじい。不老不死は無理でも、不老長寿なら実現しそうな
研究成果が発表された。
人の皮膚細胞からさまざまな細胞に成長できる人工幹細胞をつくることに、
京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らが成功したのだ。

再生医療を加速させる画期的な成果だ。世界初の体細胞クローン動物である羊の
ドリーを誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士が、山中教授らの手法が万能細胞
づくりには有望と従来のヒトクローン胚(はい)研究を断念していることでもわかる。

▲ 皮膚細胞が心筋や神経の細胞に成長するのだ。病気のメカニズムの研究や、薬の
安全性を確認する研究にすぐに役立つという。
何より従来の受精卵を壊してつくる胚性幹細胞(ES細胞)と違って、倫理問題を回避
できるのが最大の利点とされる。
▲ といっても、倫理観は人それぞれだ。チェック体制が必要なことはいうまでもない。
治療に使うには安全面の課題も残っている。国民のコンセンサスを得るためにも、
開かれた研究姿勢を堅持してほしい。
2007年11月22日(木)  愛媛新聞「コラム地軸」
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/chijiku/ren018200711222779.html

医療専門のブログは別にあります。
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)