副作用を抑える抗がん剤の投与法

濃度20倍の抗がん剤
副作用を抑える抗がん剤の投与法濃度20倍の抗がん剤

岡山理科大の浜田博喜教授と岡山大学の研究チームは、抗がん剤を従来の20倍の高濃度でがん細胞にだけ届ける薬物送達システム(DDS)を開発した。
副作用を抑え、治療効果も期待できる。
今秋にも企業と組んで臨床試験(治験)を始める計画だ。

リポソームと呼ぶ微小カプセルを使う。
直径は160〜180ナノ(ナノは10億分の1)メートル。
界面活性剤を加えながら、抗がん剤「タキソール」をカプセルに包むと、1ミリリットル中に20〜30ミリグラムの濃度で入った。

乳がんの化学療法で使われる点滴薬でも同30ミリグラムを投与する。
点滴では効き目はあっても正常な細胞にも薬が届くため副作用が起きる。

DDSではリポソーム表面にがん細胞に特有のたんぱく質を認識する抗体を付けており、がん細胞だけに抗がん剤が集まる。副作用を減らせるという。

人間のがん細胞を移植したマウスでは、DDSががん細胞に集まっていく様子が
確かめられた。

台湾かフランスのバイオ系企業と組み、今秋から治験を開始したい考えだ。

出典  日経新聞・朝刊  2012.4.2
版権  日経新聞