月経とうまく付き合う ひどい痛みや貧血、病気かも
月経による痛みや不調が日常生活に支障をきたすほどなら、病気の可能性もある。
日本人の平均初経は約12歳、平均閉経は約50歳。
その間、数十年、何度も繰り返される。
月経とうまく付き合うことができれば、日々を快適に過ごせそうだ。
月経は、受精卵を迎え入れるために、毎月、クッションのように厚くなる子宮内膜が、妊娠に至らなかった場合、はがれ落ちて起こる。
月経は病気ではないという考えから、不調を我慢する人は多い。
しかし、ひどい痛みや貧血になるほどの経血量は病気のサインだ。
月経の3大トラブルといえば、下腹部が痛む「月経痛」、経血量が多い「過多月経」、月経前のホルモンの変動によって起こる「月経前症候群
(PMS)」だ。
例えば、日常生活に支障がでるほどの痛みは「月経困難症」という状態で、婦人科の受診が必要だ。
子宮や卵巣に異常があって痛みが生じる場合もあり、適切な治療をしないと、不妊の原因にもなる「子宮内膜症」にすすむ可能性がある。
経血量の多さには、子宮筋層に子宮内膜と似た組織が入りこむ「子宮腺筋症」や、良性の腫瘍ができる「子宮筋腫」などが潜む場合がある。
これらの病気は、通常より子宮の表面積が大きくなってしまうため、経血量が増える。
そうは言っても、月経の痛みや経血量は、人と比べにくい。
自分の月経が正常か、どう判断すればいいのか。
婦人科に行く目安として、痛みなら
▽鎮痛剤を必要とする
▽日常生活に影響する
▽痛みが年々ひどくなる
▽月経以外(排便時や性交時)でも痛みがある
などを挙げる。
子宮内膜症は、子宮内膜と似た組織が子宮外にできて増殖し、炎症や癒着をおこす。
子宮と直腸の間にできやすく、それが排便痛や性交痛の原因となる。
経血量は
▽1~2時間で生理用品の交換が必要
▽昼でも夜用の生理用品が必要
▽貧血の症状がある
▽500円玉大の血のかたまりが出る
などが受診の目安だ。
PMSの主な症状は、胸や腹部の張り、むくみ、頭痛、イライラ、集中力の低下、気分の落ち込みなどだ。
症状が多様で、PMSが不調の原因と気づかずにいる人も多い。
体調や心の状態、月経のことを、毎日記録しているとよい。
それによって、不調の原因が月経周期と連動するPMSかはっきりする。
月経の3大トラブルへの対処法として、いずれにも効果が期待できるのが「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)」、いわゆる「低用量ピル」だ。
卵巣からつくられるホルモンと類似成分でできていて、排卵を休止させ、子宮内膜の厚みを最低限にとどめる。
その結果、経血量も減り、子宮収縮による痛みも減る。
薬によって、ホルモンの変動も少なくなり、PMSの症状も緩和される。
一方、血栓ができやすくなるなどの副作用もある。
「40歳以上」「喫煙者」など服用に慎重な判断が必要なケースもあり、医師に相談することが大切だ。
痛みのセルフケアなら、体を温め、血のめぐりをよくすることが効果的だ。おなかや腰にカイロをはったり、半身浴をしたり、ストレッチや散歩で体を動かすのもよい。
PMSは規則正しい生活を心がけ、甘いものやコーヒーなど嗜好品を控えると改善する場合もある。
ただし、自己流のケアでやり過ごし、病気を見逃してはよくない。
気になることがある場合、まずは婦人科に受診したい。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.1.18