善玉コレステロール増やす 効果高いのは食事?運動?
コレステロールには、悪玉であるLDLコレステロールと善玉であるHDLコレステロールがありる。
LDLコレステロールは悪玉とはいうものの、肝臓で合成されたコレステロールを全身に届ける大切な役割を担っている。
しかし、多すぎると問題になる。
血中で過剰になったLDLコレステロールは行き場をなくし、血管の壁に潜り込むしかなくなる。これが動脈硬化の原因となるのだ。
一方、LDLコレステロールの対極にあるのは、悪玉を減らす善玉のHDLコレステロールだ。
HDLコレステロールは血液中をパトロールして、血管壁にたまったLDLコレステロールを引き抜き、肝臓まで回収してくれます。
つまり、理想的な状態は、悪玉のLDLコレステロールが低いことに加え、善玉のHDLコレステロールは高い状態ということになります。
善玉のHDLコレステロールを上げる、最善の手段は「運動」
では、善玉のHDLコレステロールを増やすにはどんな対策をするのがいいのだろうか。
LDLコレステロール対策は食事がメインとなるが、善玉のHDLコレステロールを上げるには、食事を工夫してもそれほど効果がない。
実は、善玉のHDLコレステロールを上げるためには食事より、運動が効く。
運動によって善玉HDLコレステロールが上がる理由は諸説あるが、まだ詳細は明らかになっていない。
しかし、国内でもウォーキングの歩数が多いほどHDLコレステロール値が高い傾向があることが確認されている。
HDLコレステロール値が運動によって改善することは、データの上では明らかだ。
また、マラソン選手のHDLコレステロールはとても高いことが知られている。
女ともに、たくさん歩く人ほどHDLコレステロールが高くなる傾向もわかっている。
特に、男性はその傾向が顕著に出ている。
コレステロールは中性脂肪などと同じ脂質の一種ですが、中性脂肪と異なり、コレステロールはエネルギーにならず、体の中で分解されない。
このため、いくら運動をしても、悪玉のLDLコレステロールを下げることは困難だ。
しかし、運動すれば、中性脂肪を燃焼させて減らすことができる。
中性脂肪とHDLコレステロールの間にはシーソーのような関係があり、中性脂肪が下がれば、HDLコレステロールが上がるという性質があるのです。現時点では、HDLコレステロールを増やすことを目的とした薬剤は存在しないため、運動はHDLコレステロールを上げる最善の手段といっていいでしょう。
有酸素運動をまずは1日30分、週3日から始めよう
HDLコレステロールに効く運動とは、ウオーキングに代表される「有酸素運動」だ。
少し汗ばむ程度で、軽く息が上がるくらいの運動がベストで、激しすぎる必要はない。
大切なのは、ダラダラ動かず、キビキビと体を動かすこと。
欲を言えば1日30分、毎日続けるのが理想だが、あまり気負わず、週3日以上を目標にして始めるといい。
また、この1日30分の運動は数回に分けて行ってもOK。
例えば、10分間の運動を、朝昼晩と3回実施しても構わない。
有酸素運動と違い、無酸素運動には脂肪を燃やしたりHDLコレステロールを上げたりする効果はないが、筋肉が増えれば基礎代謝が高まり、インスリン抵抗性が減って血糖値が下がる効果が期待できる。
糖尿病は血管を傷めて動脈硬化を起こすリスクを高めるから、無酸素運動も適宜取り入れるといい。
有酸素にしろ、無酸素にしろ、適度な運動はいいことずくめなのだ。
ただし、高血圧の人は運動中の血圧上昇に注意する必要がある。
過度の上昇を招かないように、息をつめず、通常の呼吸をしながら行おう。
参考・引用一部改変
日経Gooday 2020.7.6