今や半数以上 あなたの備えは

国立がん研究センターの長期予測によると、2030年代後半には、男性は64万人(約12%増)、女性は53万人(約19%増)にまで増えると見込まれている。

 

がんのリスクを表す数値として分かりやすいのが、「生涯累積がん罹患リスク」だ。

生涯で、何人に1人が、がんに罹患するか示す。

よく、「日本人の2人に1人が、がんになる」と言われる。

 

生涯累積がん罹患リスクの最新の数値は、国立がん研究センターのホームページで定期的に更新されている。

7月6日に公表された最新データ(17年のデータでの推計)では、男性は65.5%、女性は50.2%だった。

前回までの数字は、13年データを使った推計で、男性62%、女性46%、15年データでは、男性63%、女性48%だった。

 

高齢化を背景に、がんにかかるリスクは年々高くなっている。

国立がん研究センターのホームページでは、男性、女性とも「2人に1人」としているが、男性では「3人に2人」、女性でも「2人に1人」が、がんになるといえる。

 

また、臓器別にみてみると、日本女性が生涯に乳がんと診断される確率は前回の11人に1人から、9人に1人とアップしていた。

 

食生活の欧米化や肥満、運動不足といった生活習慣の変化の他、少子化も大きな影響を与えている。

妊娠から授乳に至る約2年間は生理が止まるため、乳がんリスクが下がる。

授乳が乳がんを予防することも確実視されていますから、出生数の低下が乳がんを増やすことになる。

 

男性では、前立腺がんの生涯罹患リスクも9人に1人とされている。

生活環境の変化とともに、腫瘍マーカーPSAの測定が広がったことも影響していると思われる。

 

がんは決して人ごとではない。

(執筆 東京大学病院・中川恵一准教授)

 

参考・引用一部改変

日経新聞・夕刊 2020.7.29