コレステロールとうまく付き合う
コレステロールとうまく付き合うには 正常値でも「超悪玉」に注意
血液中のコレステロールについて、個人差を重視して管理する考え方が広がってきた。コレステロール値が正常でも安心できない「超悪玉」のコレステロールの存在も注目されている。
健康管理のうえでコレステロールとどう向き合ったらよいのか。
個人ごとに判断
個人ごとにコレステロールのリスクを見極めることは、健康管理でも重要になってきた。
例えば、血液中のコレステロールが動脈硬化をもたらし、狭心症や心筋梗塞のリスクを高める度合いは、男女の間でも大きな差があることが分かってきた。
個人ごとにコレステロールのリスクを見極めることは、健康管理でも重要になってきた。
例えば、血液中のコレステロールが動脈硬化をもたらし、狭心症や心筋梗塞のリスクを高める度合いは、男女の間でも大きな差があることが分かってきた。
昭和大学医学部糖尿病・代謝・内分泌内科の平野勉教授は「女性、とくに閉経前の女性の血管は女性ホルモンによって守られている。血液中のコレステロール値が非常に高い人でも動脈に全く異常が認められない場合がある」と話す。
逆にそれほどコレステロール値が高くないのに動脈硬化が進む場合もある。
例えば、親兄弟が心臓病を患っている人、糖尿病や高血圧症などの人は動脈硬化のリスクが高いと考えられる。
動脈硬化は症状が出ないうちに進むので、その兆候を早めに察知してコレステロール値の管理をすることが大切だ。
例えば、親兄弟が心臓病を患っている人、糖尿病や高血圧症などの人は動脈硬化のリスクが高いと考えられる。
動脈硬化は症状が出ないうちに進むので、その兆候を早めに察知してコレステロール値の管理をすることが大切だ。
最近では、「頸動脈エコー検査」「脈波伝播速度検査」など動脈硬化度を測定する検査が普及している。リスクが高いと考えられる人は一度検査を行うといいだろう。
コレステロール管理の指標となるのは、広く知られている血液中のHDL、LDLコレステロールの値だ。
コレステロールは肝臓で作られるが、水に溶けないため血液中ではリポタンパク質という物質と結びついた粒になって運ばれる。
コレステロールは肝臓で作られるが、水に溶けないため血液中ではリポタンパク質という物質と結びついた粒になって運ばれる。
リポタンパク質にはLDLとHDLの2種類があり、コレステロールを血管や組織に運ぶのがLDL。
余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをしているのがHDLだ。
動脈硬化は、血管の内膜にたまったコレステロールの塊が起こす病気なので、いわゆる「悪玉」と呼ばれるLDLが多すぎたり、「善玉」のHDLが少なすぎたりすることに注意が必要だ。
余分なコレステロールを肝臓に戻す働きをしているのがHDLだ。
動脈硬化は、血管の内膜にたまったコレステロールの塊が起こす病気なので、いわゆる「悪玉」と呼ばれるLDLが多すぎたり、「善玉」のHDLが少なすぎたりすることに注意が必要だ。
検査値には参考値が設けられているが、その読み方も変わってきた。
LDLコレステロールの値は1デシリットル当たり140ミリグラム未満が望ましいとされているが、リスクの低い人では160までは許容範囲とされるようになった。
LDLコレステロールの値は1デシリットル当たり140ミリグラム未満が望ましいとされているが、リスクの低い人では160までは許容範囲とされるようになった。
自己判断は禁物
ただし、自己判断は要注意だ。専門家は、コレステロール値だけでなく中性脂肪など他の検査結果とのバランスを重視する。
専門家が注目したのは、LDLのなかでも粒のサイズが小さいsdLDLの存在だ。
ただし、自己判断は要注意だ。専門家は、コレステロール値だけでなく中性脂肪など他の検査結果とのバランスを重視する。
専門家が注目したのは、LDLのなかでも粒のサイズが小さいsdLDLの存在だ。
sdLDLは、動脈硬化を進行しやすい「超悪玉」としての性質を持っているが、1つの粒が運んでいるコレステロール量は少ないため、数が多くてもLDLコレステロール値が正常になる場合があることが分かってきた。
平野教授は、sdLDLの量だけを測定する技術を開発し、血液中の中性脂肪の値が高いとLDLのサイズが小さくなってsdLDLに変わる傾向があることを明らかにしてきた。
そのためLDLの値が正常内であっても中性脂肪も一緒に高めの人は、「超悪玉」の数が多くなる。
そのためLDLの値が正常内であっても中性脂肪も一緒に高めの人は、「超悪玉」の数が多くなる。
「これらの研究成果から専門家は、HDL、LDL、中性脂肪の値を総合的に判断しながら、患者の指導にあたっている」と平野教授は話す。
最新研究によりsdLDLを減らす方法も分かってきた。
血液中のコレステロール値は、食事指導や運動習慣だけではなかなか変化しない。
それに対して体のエネルギー源である中性脂肪は運動などによって効果的に下げることができる。
血液中のコレステロール値は、食事指導や運動習慣だけではなかなか変化しない。
それに対して体のエネルギー源である中性脂肪は運動などによって効果的に下げることができる。
平野教授は「中性脂肪を下げるような努力を続けると、LDLコレステロール値は変わらなくても、sdLDLの比率が下がってくる」と話す。
1日20分程度の散歩を含めた軽度の運動習慣は、見えないところで動脈硬化予防につながっているのだ。
1日20分程度の散歩を含めた軽度の運動習慣は、見えないところで動脈硬化予防につながっているのだ。
PWV検査は両腕と足首の血圧を同時に測定するという簡便な検査方法だが、年齢とともに値が変化するため信頼性は低い。
「頸動脈エコー検査」は、首の両脇にある太い血管の内径の太さをエコー(超音波画像診断法)で直接観察するので、動脈硬化の進行を確実に捉えられる。
「頸動脈エコー検査」は、首の両脇にある太い血管の内径の太さをエコー(超音波画像診断法)で直接観察するので、動脈硬化の進行を確実に捉えられる。
<コメント>
「PWV検査は・・・年齢とともに値が変化するため信頼性は低い」ということですが、これはちょっと誤解です。
そんなことを言ったら「血圧もコレステロール値も年齢とともに値が変化するため信頼性は低い」ということになっています。
医学的には「PWV検査は血圧の高低によって補正が必要」と書くべきです。
初期に普及したPWV検査機器は、血圧補正がされていないために検査結果の数値の信頼性は十分ではありませんでした。
その後に使用されるようになった別の機種では、血圧補正がされるようになって評価に耐え得る数値が出るようになりました。
年齢とともに動脈硬化が進行するのは当然です。
年齢別の正常値を参考にするのは当然です。
ここで強調しておきたいのは、同じ動脈硬化の検査とはいえ「PWV検査」と「頸動脈エコー検査」は別のものを見ているということです。
観察する血管が違う(前者は大動脈、後者は頸動脈)のは当然として、「PWV検査」は動脈の硬化(または弾性)を、「頸動脈エコー検査」は血管内膜の肥厚や粥状硬化を主として観察する別の検査です。
両方を検査しなければ意味がありません。
「PWV検査は・・・年齢とともに値が変化するため信頼性は低い」ということですが、これはちょっと誤解です。
そんなことを言ったら「血圧もコレステロール値も年齢とともに値が変化するため信頼性は低い」ということになっています。
医学的には「PWV検査は血圧の高低によって補正が必要」と書くべきです。
初期に普及したPWV検査機器は、血圧補正がされていないために検査結果の数値の信頼性は十分ではありませんでした。
その後に使用されるようになった別の機種では、血圧補正がされるようになって評価に耐え得る数値が出るようになりました。
年齢とともに動脈硬化が進行するのは当然です。
年齢別の正常値を参考にするのは当然です。
ここで強調しておきたいのは、同じ動脈硬化の検査とはいえ「PWV検査」と「頸動脈エコー検査」は別のものを見ているということです。
観察する血管が違う(前者は大動脈、後者は頸動脈)のは当然として、「PWV検査」は動脈の硬化(または弾性)を、「頸動脈エコー検査」は血管内膜の肥厚や粥状硬化を主として観察する別の検査です。
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