かゆくてつらい「じんましん」 じつは7割が原因不明
皮膚が赤く膨れ上がり、かゆみを伴う「じんましん(蕁麻疹)」は、5人から10人に1人が一生に1度はかかるといわれるほど頻度の高い病気だ。
じんましんの発疹は「膨疹」と呼ばれ、「かゆくなる、赤くなる、腫れる、一過性に消える」という4つの特徴がある。
じんましんは、皮膚の奥のほうの「真皮」にあるマスト細胞が、何らかの刺激を受けて活性化し、ヒスタミンなどの物質を放出するために起こる。
ヒスタミンが毛細血管に作用すると、毛細血管は異常に膨らみ、細胞の隙間から血液成分(血漿)が漏れ出して皮膚が押し上げられ、赤く腫れて見える。
ヒスタミンは知覚神経も刺激するため、かゆみが生じる。
じんましんの反応は真皮で起こっているため、表面はなめらかでツルッとしている。
一方、アトピー性皮膚炎などで現れる湿疹は、表面の「表皮」に小さい赤い発疹や水ぶくれ(小水疱)が出ますが、じんましんと違って表面はブツブツとしている。
じんましんは長くても24時間以内に治まり、何事もなかったかのように跡が残らない。
しかし、湿疹は表面がただれたり、かさぶたになったりしながら、治まるまで数日から1~2週間ほどかかる。
シミが残ることもある。
じんましんの7割は原因不明
じんましんは大きく分けると、症状が出てもすぐに治まる「急性じんましん」と、症状が出たり治まったりする状態が1週間以上続く「慢性じんましん」の2つがあるが、「いずれも明らかな原因が分かるのは3割程度にすぎない(刺激誘発型じんましん)。
残る約7割は、原因がつかめない「特発性じんましん」と呼ばれている。
原因が明らかなじんましんは、こすれたりかいたりした摩擦、温度変化、日光、汗など、何らかの刺激によって起こる。
皮膚に薬を塗っても成分が届きにくいため、治療は飲み薬中心
じんましんの治療は飲み薬を中心に進めていく。
じんましんは皮膚の奥のほうで起こるので、皮膚に薬を塗っても成分が届きにくいのだ
それに、全身に膨疹が出るような重症の場合、顔から足元まで、薬をくまなく塗るわけにもいかない。
じんましんの治療は、飲み薬を柱に、重症の場合は注射薬も使いながら、内側から全身に働きかけるのが基本だ。
最初に使われるのは抗ヒスタミン薬と呼ばれる種類の内服薬だ。
抗ヒスタミン薬で効果が得られなければ、種類を変更したり、他の薬を追加したりする。
補助的に追加する薬の1つに、胃薬として知られるH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)がある。
重症例に対しては、2017年から一部の慢性じんましんに保険適用されるようになった、オマリズマブ(商品名ゾレア)という注射薬を併用することもある。
じんましんは原因不明のものが多い上、原因が分かっても日常生活で完全に避けるのは困難な場合もある。
ストレスもじんましんの誘因の1つであるため、あれもダメ、これもダメ…と制限すると、それ自体がストレスとなる。
制限を増やすよりも、早寝早起き、リラックスするなど、規則正しく健康的な生活を心がけるのが一番だ。
参考・引用一部改変
日経Gooday 2020.11.1
<関連サイト>
じんま疹の原因