じんましん と ストレス

7割が原因不明… じんましん、ストレスも影響

じんましんは強いかゆみと虫さされのような腫れが突然襲ってくる。
アレルギー反応や内臓の病気で起こると考える人も多いが、ストレスや緊張など心の状態が発症や症状に影響している場合もある。

15~20%が経験
■じんましんは、15~20%の人が一生のうち一度は経験するといわれる。
0歳から80代まで起きるが、女性や20~40代に多い。

■傷んだ生魚が原因のヒスタミン中毒などで起きるじんましんは一過性だが、慢性じんましんは1カ月以上症状が繰り返す。
長引きやすく汗をかいたときに起こる「コリン性じんましん」は、10~30代の若者に多い。

■原因を突き止められたら「特定の食品や薬は口にしない」「強い光を避ける」などの対策ができる。
刺激を受けた後30分程度で症状が現れやすく、直前の行動を思い返せば原因の候補を挙げられる。
なんらかの刺激で肥満細胞が「ヒスタミン」という物質をだして、かゆみや腫れを引き起こす。

■検査では血液で肝臓の機能のほか、細菌やウイルスの感染を調べる。
食品成分などでアレルギー症状が現れるかを観察したり、皮膚に光を当てて発疹するかをみたりする。

■じんましんの原因が特定できた例は少ない。
病院を訪れた患者のうち、光や寒さといった物理的刺激(患者全体の10%)や、食品や薬に含まれる物質のアレルギー(同5.4%)など原因がはっきりと分かった人はわずかで、7割が原因不明という統計もある。

■すぐに原因が分からなくても、症状を悪化させるきっかけを避ければ生活への影響を小さくできる。
こうしたきっかけを専門家らは「増悪因子」と呼ぶ。
多いのがストレスと疲労だ。

■慢性じんましん患者を調べたところ、多くはストレスと疲労が症状を悪化させていたという報告がある。
原因がわかっているじんましんでも、ストレスで症状がひどくなる場合もある。
ほかにも運動や月経が増悪因子になり得る。

自己暗示で楽に
■ストレスが関係するじんましんには、心理療法薬物療法が効果的な場合がある。
代表的な心理療法には「右手が温かい」などと自己暗示をかけてリラックスする「自律訓練法」。
薬物療法では皮膚科の治療で使う抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬や、向精神薬漢方薬などを使う。
アレルギー反応が出ていなくても、ヒスタミンの働きを抑える抗アレルギー薬の点滴で症状は治まる。

■じんましんの患者の中には、なぜ発症してしまうのか、いつ発疹するのかと過度に恐れるあまり、かえって強いストレスを感じて症状が悪くなる人もいる。
薬で症状を抑えた上で心理療法を継続し、様子を見ながら徐々に薬の量を減らすのがよい。

出典 日経新聞・夕刊 2013.9.13
版権 日経新聞