新型コロナワクチン、期待と未知と ①
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるカギとなる予防ワクチン。
米製薬大手ファイザー製が英国で緊急使用の承認を受け、接種が始まった。
米国でも近く接種が始まる見通しで、コロナワクチンは実用段階に入った。通常は10年近くかかる開発期間が大幅に短縮され、有効性や安全性について不明な点も多い。
今後日本にはいつ届き、どうやって接種できるようになるのか。
開発中のワクチンの動きや、予防効果や安全性などの課題はどうなのか。
米ファイザー製のワクチンは12月、英当局が緊急承認し、英国内で8日に接種が始まった。
日米欧の先進国で初めて。
ドイツの製薬企業ビオンテックと共同で開発した。
米当局も近く緊急使用許可を出す見通しだ。
製薬新興企業の米モデルナも緊急使用許可を申請している。
中国の製薬企業シノバックとシノファーム、ロシアのガマレヤ研究所のワクチンもすでに国内で接種が始まっている。
これら以外にも世界では多くのワクチンが開発中だ。
世界保健機関(WHO)によると、臨床試験(治験)中のワクチン候補は12月2日時点て51種類。
そのうち、最終の第3段階に至っているのは13種類だ。
ワクチンのタイプもRNA(リボ核酸)、DNA、ウイルスベクター、不活化など様々ある。
ワクチンの成功例が相次ぎ、世界に供給が広がれば接種できる機会も増すため、感染拡大を抑える可能性かおる。
ワクチンの接種を巡っては、中国とロシアが欧米より先行している。
中国のシノバックとシノファームは2020年夏に治験段階にもかかわらずワクチンを国内で緊急投与、11月にはシノファームが国に販売許可を申請した。
ロシアは8月にガマレヤ研究所のワクチンを世界で初めて承認し、10月に
も2例目を承認した。
ロシアのワクチンは国内での供給にとどまる一方、シノバックなどはインドネシアやブラジルなど10以上の国で治験を実施。
開発に成功すればこれらの国に供給し、影響力の拡大を狙う。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2020.12.10