新型コロナワクチン  印・中・ロ、無償・安価で存在感

新型コロナワクチン  印・中・ロ、無償・安価で存在感

途上国へのワクチン供給が世界的な課題となるなか、自国の存在感を高めようと「ワクチン外交」を展開する動きもある。

 

インド政府は今月、純国産ワクチンと、英アストラゼネカなどが開発したワクチンの2種類を承認した。

いずれもインドで生産し、価格は200~295ルピー(約280~420円)。

BBCによると、モデルナ製は33ドル(約3400円)、ファイザー製は20ドル(約2千円)で、インド生産のワクチンは安い。

冷凍保存のファイザー製、モデルナ製と違い、冷蔵で保存できる。

途上国で冷凍管理は難しく、低価格も普及の重要な要素と考慮された。

 

モディ首相は「インドは世界の薬局」と宣伝。

バングラデシュスリランカなど近隣国に無償提供し、ブラジルや南アフリカなどへの販売も予定する。

 

中国とロシアが開発したワクチンも冷蔵で保存できる。

中国外務省の報道局長は20日の会見で「四十数カ国から輸入したいとの申し出があった」と誇った。

中国紙の環球時報によると、中国ワクチン を購入した国だけで20カ国を超え、多くは東南アジアや南米、中東など途上国だ。

 

中国政府は今月、ミャンマーカンボジアなどにワクチン計200万回分以上の無償提供も表明。

対立する米国などとの違いを際立たせる戦略のようだ。

 

ロシアも旧ソ連諸国や南米、アフリカなどを中心に輸出や国外生産を広げる。

外国での販売は10ドル(約1千円)以下とされる低価格が魅力だ。

科学力や国際社会への貢献をアピールし、欧米との対立で孤立する国際的地位を回復する狙いとみられる。

 

ただ、ロシアや中国のワクチン、インドの純国産ワクチン は、国際的に求められる大規模な臨床試験の詳細な結果が公開されていない。

安全性や効果の検証が不十分との指摘もある。

コメント

驚くほどのスピードで各国のワクチン開発が進んだ理由の一つが、いわゆる「ワクチン外交」という政治的背景があったことは事実のようです。

しかし、いかなるモチベーションであっても、優れたワクチンが短期間で開発されたとすれば、理由はともあれ結果的には素晴らしいことです。

従来の手法と違って、十分なプロセスを経ずに開発されただけに、ワクチン禍が起きないことを祈るばかりです。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2021.1.28