温度と湿度、効率に直結 CO2濃度も注意

温度と湿度、効率に直結 CO2濃度も注意

新型コロナウイルス下で自宅でテレワークする機会が増えた。

通信環境や家具などへの関心は高まっているが、実は空調も重要な要素だ。冷えや乾燥は仕事の効率を悪化させる恐れがある。

テレワークに適した空調とは・・・

 

日本の家屋の多くは断熱性能が低い。

世界保健機関(WHO)のガイドラインでは呼吸器系などの疾病リスクを抑える冬の室温は18度以上としているが、日本は住居の居間の6割が下回っている。

当然、仕事の効率にも室温は影響する。

ある実験によると、手元に比べて足元が冷たい環境で足の温度を1度上げると、被検者の計算問題の正答数が上がったという。

 

足元が冷え、頭付近と温度差が生じると体温調節の命令を出す自律神経のバランスが乱れやすくなる。

イライラや、仕事への集中が妨げられる。

足元の冷えを軽減するだけでテレワークの能率は改善する。

冬は22~23度が適温で、机の上と足元で寒暖差を作らないことが重要だ。上半身が寒ければ上着などで調整しよう。

 

暖気は天井付近に集まりやすく、足元に冷気がたまることが多い。

エアコンの室内機の風向をできるだけ下向きにして、床面近くまで暖気を送ることが大切だ。

 

エアコンの温度センサーは室内機の内部にある。

足元が冷えていても部屋全体が暖まったと判断して風力などを弱める可能性がある。

エアコンの風向を変えても効果がなければ、扇風機や空気清浄機で室内の空気をかき混ぜるとよい。

 

乾燥も仕事の能率に悪影響を及ぼす。

乾燥した環境では皮膚から水分が蒸発し体内の水分量が減る。

血液が濃くなり、脳の血液循環が悪化し「やる気がでない」と感じる可能性が高まる。

 

 

小さな作業ミスが増える恐れもある。

乾燥すると目が乾きやすく、まばたきが増える。

まばたきが多いと目から入る情報が減るとされる。

冬の湿度は40%を下回らないように心がけたい。

 

気温と湿度だけでなく、二酸化炭素(CO2)濃度にも注意が必要だ。

オフィスでは1000PPM(1PPMは100万分の1)以下に抑える必要があるが自宅では換気が不十分だと2000PPMを簡単に超えてしまう。

 

2000PPM以上になると血中の酸素量が減る。

酸素が脳に届きにくく、眠気を感じやすくなる。

仮眠など休憩を取っても眠気が強い場合、CO2濃度を調べたい。

計測器は4000円程度から購入できる。

新型コロナの感染対策として部屋の換気が適切かを知る目安にもなる。

 

2003年7月施行の改正建築基準法で、住宅には24時間自動で換気するシステムの設置が必要になった。

換気口は浴室にある場合が多い。

まずはこのシステムを動かし続けることが重要となる。

 

システムがない住宅では30分に1回、5分ほど窓を開ければよい。

窓が2つ以上ある場合、対角線上に開けると効果的だ。

窓が1つでもキッチンの換気扇と組み合わせて空気の流れをつくると、うまく換気できる。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・夕刊 2021.1.26

 

<関連サイト>

仕事の能率を上げる空気環境づくり

https://aobazuku.wordpress.com/2021/03/28/仕事の能率を上げる空気環境づくり/