がん患者は、新型コロナウイルス抗体量低め

がん患者は抗体量低め 「積極的にワクチン接種を」

国立がん研究センターなどのチームは2日、がん患者と健康な人について、新型コロナウイルスに感染後に血液中にできる抗体を調べた結果、抗体保有率は同程度だったが抗体の量はがん患者のほうが低かったと発表した。

 

同センターは、この違いが感染や重症化リスクに影響するかは不明としているが、「がん患者はワクチンを接種してもウイルスに対抗する抗体が十分にできないのではないかと心配するかもしれないが、海外の事例では2回接種したがん患者の9割に有効な抗体ができている。

積極的にワクチンを接種してほしい」と呼び掛けている。

 

チームは昨年8~10月、同センター中央病院に通院中の16歳以上のがん患者500人とセンターの医師や看護師ら職員1190人のコロナ抗体を解析した。

その結果、抗体保有率はがん患者0.4%、健康な人0.42%で、本人が気付かないまま感染した割合は同程度だった。

 

一方、抗体量では、がん患者は健康な人と比較して低かった。

がん治療が抗体量に与える影響を調べると、がん細胞を直接たたく抗がん剤を投与されている患者は抗体量が低く、免疫ががん細胞を攻撃する力を維持する免疫チェックポイント阻害剤の投与を受ける患者は抗体量が高かった。

これらの薬物療法の違いが抗体量に影響を与える可能性があるという。

 

チームは今後、がん患者がワクチンを接種した後の抗体量の推移などを調べる。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2021..6.3