体形だけで判断NG「やせメタボ」 ①

体形だけで判断NG「やせメタボ」 糖尿病リスク高く

やせ型の人でも体内でひそかに進行する「やせメタボ」がある。

ポイントとなるのが筋肉だ。

筋肉に脂肪がたまった状態である「脂肪筋」になっていると、糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクを高めてしまう。

もはや、メタボは体形だけでは判断できない。

リモートワークで「歩かない生活」になり、忙しくて食事内容が偏っている人は要注意だ。

 

糖尿病発症リスクは、肥満者よりもやせた人のほうが高い?!

メタボといえば、太った人、おなかがぽっこり出ている人の病気。太っていない自分は大丈夫、と安心していないだろうか。

近年、やせ型の人であっても油断できない研究結果が続々と発表されている。

40~79歳の日本人約7200人を対象に9.5年間追跡した研究によると、BMIが高い肥満の人よりも、

低い(やせている)人のほうが糖尿病発症リスクが数値としては高いことがわかった。

 BMIとは、肥満の基準となる体格指数(body mass index)のこと。

 体重(kg)を身長(m)で2回割って算出する。

 BMIという基準から言うと、BMI25以上が「肥満」となる。

 意外にも、BMIが低い人たちのほうが、糖尿病リスクが高かった。

 

メタボリックシンドロームは、内臓周囲に脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」に加え、脂質代謝異常、高血圧、高血糖のうち2つ以上が当てはまる状態のことを言う。

動脈硬化を進め、脳梗塞心筋梗塞といった命に関わる病気につながることが広く知られている。

メタボが進行した先にある糖尿病も、肥満度が高くなるほどかかりやすくなるものでは、と思っている人がほとんどではないだろうか。

もともとアジア人は欧米人と比べて血糖値を下げるインスリンの分泌能力が弱く、軽度の体重増加であっても糖尿病やメタボにかかりやすいことが知られてきた。

発表された上記の研究では、まだ糖尿病を発症していない人であってもやせ型の人はその後、糖尿病にかかりやすくなることが明らかになった。

もはやメタボなどのリスクは体形のみでは判断できない、してはいけないと考えられるようになって来た。

 

やせても糖尿病になってしまう人の体の中で何が起こっているかについて、複数の事実が明らかにな

ってきた。

標準体形でもメタボリスク因子が1つでもあると肥満の人並みにインスリンが効きにくくなる
日本人男性70人を対象に、BMI23~25で、高血糖脂質異常症、高血圧のメタボリスク因子を1つも持っていない人、1つ持っている人、2つ以上持っている人に分け、骨格筋のインスリン感受性(筋肉でのインスリンの働き)を測定。

リスク因子が1つでもあると、肥満でメタボの人と同程度に骨格筋でのインスリン感受性が低下している、つまり糖尿病リスクが高い可能性があることがわかった。

● 閉経後のやせ女性では「脂肪筋」が多くなるほど食後血糖値が高くなる

やせた閉経後女性(BMI18.5未満。平均年齢56.2歳)では、食後に高血糖値になる割合が同年代の標準体重女性の約2倍高い(やせた女性37%、同年代女性17%)。

さらに調べると、筋肉量が少なく、筋細胞内に脂肪が蓄積する「脂肪筋」が多いほど、食後血糖値が高くなった。

● 若年やせ型女性では標準体重の人より耐糖能異常が7倍多くなる

やせ型の若い女性(BMI18.5未満。平均年齢23.6歳)では、食後高血糖となる「耐糖能異常」の割合が、標準体重女性よりも約7倍高い(やせた女性13.3%、標準体重の女性1.8%)。

その率は米国の肥満者(BMI30以上)における割合(10.6%)よりも高かった。

耐糖能異常のある人は、インスリン分泌が低下していただけでなく、肥満の人に生じると考えられてきたインスリンの効きが悪い(インスリン抵抗性)という特徴が見られた。