若者、ワクチンで心筋炎

若者、ワクチンで心筋炎 日米当局が報告 専門家「恩恵、リスク上回る」

新型コロナウイルスのワクチン接種後、心臓の筋肉に炎症が起きる「心筋炎」などを発症する例が主に若い世代で報告されている。

疾病対策センター(CDC)によると、接種と症状は関係する可能性があるが、頻度は極めてまれで多くが回復しているという。

厚生労働省も国内の報告をまとめており、専門家は「接種の恩恵はリスクを上回る」と口をそろえる。

 

心筋炎は細菌やウイルスの感染によって起きる病気で、風邪のような症状に続き、心不全の兆候や腕の痛み、息切れなどが生じる。

1~2週間で回復することが多い。

 

CDCは23目、予防接種に関する諮問委員会を開き、米ファイザー製や米モデルナ製の新型コロナワクチンの接種後にみられる症状を報告した。

米国で約3億回の接種を終えた6月11日までに、心筋炎や心臓の膜に炎症が起きる「心膜炎」を起こしたとする暫定的な報告が1226例あった。

 

7~8割を男性が占め、中央値は24~30歳。

多くは接種から4日以内に発症していた。

39歳以下に限定すると、2回目接種後に心筋炎などを起こす頻度は100万回あたり12.6例程度。

接種後まれに起きる重いアレルギー反応、アナフィラキシーは国内で100万

回あたり10件とされ、頻度は同程度だった。

 

29歳以下の症例のうちCDCの基準で心筋炎などと思われるのは323人。

入院した309人のうち295人は退院し、そのうち218人は回復が確認できた。

 

国内の報告も出ている。

厚労省によると、13日までにファイザー製だけで約2300万回の接種が進み、接種後の心筋炎や心膜炎の報告は12件。

海外同様に若い男性に多い傾向があるが、若い男性の全例が回復している。モデルナ製は44万回の接種があったが、これまでに報告はない。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・朝刊 2021.6.25  朝刊

 

 

<関連サイト>

新型コロナワクチン接種後の心筋炎

(一般社団法人日本循環器学会提出資料)

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000796566.pdf

ウイルス感染に伴う心筋炎・心膜炎の臨床像

 (サイト参照)

新型コロナワクチンによる心筋炎・心筋症の頻度は低い

すでに 3 億 2 千万人がワクチン摂取している米国では、30歳以下の若者のPfizer/BioNTech かModerna の新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎は475 例(頻度0.0005%)報告され、ほとんどは完全に回復している。

500 万人超がPfizer/BioNTechの新型コロナワクチン接種済みのイスラエルでは、心筋炎の報告が275例(頻度0.006%)で、米国と同様に多くは 2 回目の接種後で、主に 16~19 歳の若い男性に認められた。

新型コロナウイルス感染による心筋症は新型コロナワクチン接種後に発症する心筋症よりも頻度としてはるかに高い。

新型コロナワクチン接種後に発症することが懸念されている軽度の心筋炎・心膜炎に関する日本循環器学会としての見地と対応

  ・急性心筋炎・心膜炎が新型コロナワクチン接種後に発症する頻度は極めて稀

  ・新型コロナワクチン接種後の急性心筋炎・心膜炎は軽症が主体

  ・若年者では新型コロナウイルス感染による無症状の急性心筋炎・心膜炎発症の可能性がある

  ・新型コロナワクチン接種により感染・重症化予防を図るメリットの方が、新型コロナワクチ

   ン接種後の急性心筋炎・心膜炎に対する懸念よりも圧倒的に大きい

  ・日本循環器学会としては、新型コロナワクチン接種後に発症することが懸念されている軽度

   の心筋炎・心膜炎は、現在のワクチン接種体制および通常の循環器診療体制で対応可能と考

   える。

 

ワクチン接種後の心筋炎

https://www.covid19-yamanaka.com/cont5/82.html

イスラエルからの報告。

 2021年1月30日から2月20にまでの3週間に、緊急外来を受診した6名の男性(16-45歳、平均

 23歳)が心筋炎と診断された。

・5名はファイザー社製のワクチンの2回接種後数日以内、残りの1名は1回目接種後16日後だった。

 心電図、血液検査、MRI検査で心筋炎と診断された。

・非ステロイド系消炎鎮痛剤やコルヒチンによる治療が行われ、全員が4から8日で退院してる。 

 同病院の緊急外来を受診する心筋炎の患者は、通常は毎月1人未満であることから、今回の心筋炎

 はファイザー社製ワクチンの副反応である可能性が示唆された。

・同様の心筋炎の発生は、アメリカCDCからも報告されている。

 ファイザー社製およびモデルナ社製ワクチン投与後に報告されており、2回目接種後に多い

・若い男性に多い

・ほとんどが治療により軽快

という点で、イスラエルからの報告と共通している。

アメリカではmRNAワクチンとは違うジョンソンエンドジョンソン社製のワクチンも使用されているが、こちらでは心筋炎は報告されていない。