腎臓を長持ちさせるための水分摂取は?

腎臓を長持ちさせるための水分摂取は?

健康診断などで腎機能の低下を指摘され、腎臓の負担を減らしたいと思ったとき、水分のとり方に迷う人は多いはずだ。

 

腎臓の負担を減らすために、水分を控えたほうがいいのでは、と考える人が多いが、水分をとらないと、逆に腎臓に負担がかかるので注意したい。

 

腎臓は1日約150リットルもの血液をろ過し、それをさらに100倍に濃縮して約1.5リットルの尿を生成している。

しかし、腎機能が下がると尿を濃縮する力が落ち、濃い尿を作ることが困難になる。

同じ量の老廃物を処理するには、代わりに薄い尿をたくさん出すしかなくなる。

 

尿をたくさん作るには、当然たくさんの水が必要となるのだ。

水分摂取が腎臓の負担になる、水は飲まないほうがいい、と誤解する人が多いが、まったく逆だ。

腎臓にとっては、水を飲んだほうが毒素を外に出しやすくなる。

 

夜間頻尿が気になる人は、塩分を減らそう

水分をしっかりとると夜中のトイレ回数が増えてしまうのではないか、と心配する人もいるだろう。

しかし、夜間に腎臓がしっかり働くためには、体の中に十分な水分があることが大切となる。

 

活動量の多い昼間は、腎臓は血液を他の臓器と奪い合って老廃物を処理している。

一方、活動量が少なくなる夜は、多くの血液を腎臓で使うことができる。

腎臓が弱ると、昼間に限られた量の血液から尿を作るのが難しくなり、その分が夜に持ち越されるので、夜間の尿が増えるようになる。

 

腎機能が落ちれば、夜間の尿量が増えるのはもっともなことなのだ。

もしそこで水分摂取を控えてしまうと、腎臓が老廃物を排出しきれなくなったり、夜中に脱水に陥ったりすることもあり得る。

腎機能が落ちてきた人は特に、水分をセーブしないできちんととるようにしたい。

ただし、体重が増えないように、すなわち浮腫が出ない範囲にとどめておくことが大切だ。

 

夜間頻尿が気になる人は、水分ではなく、塩分を控えてみること。

夜間頻尿の原因は、水分より、塩分のとり過ぎであることが多い。

 

塩分には水を引っ張ってくる性質(保水作用)があるため、体内の塩分量が増えると、水が細胞の中にたまりやすくなる。

これがむくみの正体だ。

体にたまった水分は夜になって処理されるため、塩分摂取が多いと、夜中の尿量が増えてしまうのだ。

 

減塩すれば、体に水分をため込む力が弱くなるので、夜中の尿量の減少につながる。

夜間頻尿には水の飲み過ぎも影響するが、一番の原因は塩分のとり過ぎなのだ。

夜中にトイレに行く回数が多い人は、塩分を抑えよう。

 

参考・引用一部改変 

日経Gooday 2021.5.24