コロナ後遺症、女性に出やすい傾向

コロナ後遺症、女性に出やすい傾向 男性比で倦怠感2倍・脱毛3倍

新型コロナウイルスへの感染後、女性の方が男性に比べて倦怠感や味覚・嗅覚障害、脱毛といった後遺症が出やすいという傾向が、国立国際医療研究センターのアンケートでわかった。

およそ4人に1人が、発症から半年経っても何らかの症状を抱えていることも明らかになった。

 

2020年2月~21年3月までに、同センター病院が実施する、新型コロナから回復した患者対象の調査に参加した457人を分析した。

急性期の重症度や治療内容、長引いている症状の有無などを聞いた。

 

発症日から調査日までの期間の中央値は248.5日だった。

急性期の症状は、酸素投与を必要としない軽症が378人(84.4%)、中等症が57人(12.7%)、重症が13人(2.9%)だった。

9人はデータがなかった。

 

女性は男性に比べて、倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすかった。

リスクは倦怠感が約2倍、味覚障害は約1.6倍、嗅覚障害は約1.9倍、脱毛は約3倍だった。

味覚障害が出た人の中で調べても、女性は男性に対して1カ月程度、症状が長引きやすかった。

また、若い人や、やせ形の人は味覚・嗅覚障害が出やすいこともわかった。

 

女性の方が症状が出やすい理由について、同センターの森岡慎一郎・国際感染症対策室医長は「明確には分かっていない」とした上で、「急性期は男性、高齢者、肥満が重症化リスクとされているが、いくつかの後遺症の出現リスクでは逆だった。どうしてこういうことになるのか、原因究明を行っている」と話す。

 

新型コロナの後遺症が長引く実態も明らかになった。

発症や診断から6ヵ月経った時点では、26.3%の人に何らかの症状が残っ

ており、軽症者でも症状が長引く人がいた。

1年後でも、8.8%の人に症状が残っていた。

4週間以上続いている症状で多かったのは嗅覚障害で、22.8%の人に残っていた。

集中力の欠如(20.8%)、倦怠感(20.4%)が続いた。

 

この調査では調べていないものの、別の研究では、ワクチンを2回接種済みの人は、たとえ感染しても症状が長引きにくいという報告があり、発症予防や重症化予防だけでなく、後遺

症の抑制にも効果がある可能性があるという。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・夕刊 2021.10.12