ドライアイ、シニアで増加中 我慢は頭痛や不眠の原因に
「目がかすむようになった」「まばたき時に違和感がある」。
こうしたドライアイの症状に悩むシニア世代が相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛の生活が続き、スマートフォンなどの画面を見る機会が増えたことが要因とみられる。頭痛や不眠につながりかねず、適切な対応が欠かせない。
シニアでドライアイの患者が目立っている。
新型コロナ下で、自宅でスマホなどのデジタル機器を扱う時間が急速に増えたことも一因という。
総務省の調査によると、2019年と20年のSNS(交流サイト)の利用状況を比較すると、1年間で全年代で増加。
全体平均で約5%増だったが、60代は約9%増と、全世代で増加率は「6~12歳」(13.5%)の次に高かった。
70代も約7%アップし、シニアの増加が顕著になった。
60代男性も動画配信を見たり、親族とSNSで連絡を取ったりして、スマホ画面を見る時間が大幅に増えたという。
シニアは特に注意が必要だ。
発症の可能性が加齢に伴って上がることがその理由だ。
要因は2つ挙げられる。
一つは年齢を重ねることで、涙の分泌が減る点だ。
もう一つは涙の膜は外側から油層、ムチンを含む涙液の2層で構成されるが、加齢で目の外側を覆う油層が薄くなり、涙が蒸発しやすくなることだ。
ドライアイは涙の質や分泌が低下し、目の表面の健康が保てなくなる病気とされる。
スマホの長時間利用やコンタクトレンズの使用によっても、目の乾燥や痛みといった症状が生じる。
医師や研究者で構成するドライアイ研究会によると、患者数は国内で2000万人超と推定される。
症状があるのに、診断を受けていない人も少なくない。
在宅勤務などの影響で、働き世代が患うケースも出ているという。
ドライアイは直ちに失明などにつながる疾患ではないが、不調を我慢していると、肩こりや頭痛、不眠の原因になる。
そのためにも、十分な予防が欠かせない。
日常生活でパソコンやスマホの画面を見る時間を減らせないなか、日本眼科医会は、目を休ませるため、20分ごとに20秒間遠くを見る、といった方法を提案する。
目を大きく開くと涙が乾きやすくなるため、あまり開く必要がないよう、画面の位置を低くするなどの対応も有効という。
目の周囲にあり、油分を分泌する脂腺の働きを改善させることも効果的。
油分はまばたきによって涙の表面に広がり、蒸発を防ぐ役割を持つ。
脂腺の出口が詰まれば、油分が出にくくなるため、蒸しタオルなどで目の周りを温めて、詰まりを和らげるとよい。
市販の目薬では、人工涙液などの防腐剤を含まないタイプが活用できるという。
頻繁に使うと、涙が押し流されたりして、涙の層を乱したりするため逆効果となる。
1週間ほど使って改善しない場合は眼科を受診したい。
目の健康、十分な睡眠や適度な運動で維持
涙の状態が悪化すると、視力の低下にもつながりかねない。
涙の役割は多岐にわたっており、重要性を認識することが、涙の健康を維持する第一歩となる。
涙は目の表面を覆うことで、ごみなどの異物が入らないように守る役割を果たしている。
仮に入った場合でも、涙が洗い流す。
きれいな画像で見えるよう、目の表面を滑らかにして、視力の質を上げる機能もある。
涙には様々な成分が含まれる。
例えばビタミンや酵素は紫外線対策となっており、タンパク質は細菌感染を防いでいる。
涙の分泌と質の向上のためには、十分な睡眠や適度な運動を心がけることが欠かせない。
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2021.9.8
<関連サイト>
目の情報ポータル
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/
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