新たなパーキンソン病、報告 別の蛋白質で神経細胞死

新たなパーキンソン病、報告 別の蛋白質神経細胞
大阪大などのグループは、これまでに知られていなかった新しいタイプのパーキンソン病を見つけたとして、米専門誌に報告した。
パーキンソン病患者の脳で、他の病気との関連が知られている蛋白質が異常に蓄積しており、この蛋白質が単独で神経細胞死を起こすとみられる。

パーキンソン病は、脳の特定の神経細胞が減り、手足のふるえや体のこわばりなどの症状が出る難病。
患者の脳では、「αシヌクレイン」という蛋白質が集まってたまることが知られており、これが神経細胞死につながると考えられていた。
 
グループは、症状や病気の進行のしかたから典型的なパーキソン病と診断され治療を受けていた患者の死後、脳を解剖して詳しく調べた。
すると、αシヌクレインは蓄積しておらず、「TDP-43」という別のたんぱく質が異常
にたまっており、神経細胞死が起きているのを見つけた。
 
この蛋白質は、全身の筋肉が衰える「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」や認知能の一つである「前頭側頭型認知能(FTD)」の患者の脳に異常に蓄積し、神経細胞死を起こすことが知られている。
原因は異なっていても、特定の神経細胞が減ると同じ症状が出ると考えられる。
 
パーキンソン病で、この蛋白質だけが異常に蓄積しているのが見つかったのは初めてで、グループは新しいタイプとして報告した。
一例ではあるが、パーキンソン病の仕組み解明に役立つ可能性がある、という。

参考・引用一部改変
朝日新聞・夕刊 2022.5.31

コメント;
レビー小体型認知症ではパーキンソン病が合併することが広く知られています。
パーキンソン病患者の約40%が、パーキンソン病認知症を発症。
通常、パーキンソン病認知症が発生するのは70歳以降で、パーキンソン病の診断から約10~15年後といわれます。
今回の研究の対象となったパーキソン病の症例は、さらに「長生き」をしていればレビー小体型認知症を発症していた可能性も考えられます。
「前頭側頭型認知能(FTD)」で「TDP-43」が増加することが立証されているわけですから、少なくとも「レビー小体型認知症ではTDP-43は蓄積しない」という立証が必要です。