病院よりも高齢者施設で

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家庭的に看取る 宅老所など 家庭・医師一体で

「最期の時は病院より自宅に近い環境で・・・」。
そんな思いから高齢者施設で終末期を迎える高齢者が増えてきた。
病院での延命治療より、本人や家族が納得できる死を求め、グループホーム
などを選ぶ。
国も医療費の抑制につながる在宅医療の確立を急いでいるが、動きは緒に
就いたばかり。
家庭的な看取(みと)りの現場を追った。

東京都町田市のグループホ-ム「光の園・町田」で5月初め、安藤富三さん(94)
が亡くなった。
認知症が進む前の安藤さんの要望に沿い、長女の石黒直美さん(54)など介護者家族
は終末期になっても入院させなかった。

「家庭的な雰囲気のある場所で、人問として自然に扱われて死に赴かせてあげたかった」
と話す石黒さんは、インターネットで自宅に近いグループホームを探し、昨年3月父を
入居させた。
東京都大田区で父の介護にあたっていた母(78)が、膠原病になり入院したためだ。

4月下旬に脱水症状になったが、石黒さんは「点滴はしないで」と医師に伝えた。
水を受け付けなくなったので、「水をしゃぶらせて」いたが、最期は眠るように息を
引きったという。

光の園では入居者が終末期に近づくと、家族と医師、看護師などを呼んで話し合う。
独自に作成した「ターミナルに関する覚書」に基づいて、関係者で死の迎え方の意思
統一を図る。
互いの信頼関係を築きながら看取りに取り組もうという姿勢だ。
 
病院で点滴など多くの管を挿入される、いわゆる「スパゲティ症候群」を避け、自宅での
死や看取りを望む家族は多い。
だが、独り響らしや老老介護の家では難しい。同居家族がいても介護の負担は重く、施設
に頼らざるを得ないのが現実だろう。
自宅にできるだけ近い環境を用意したい。
思いをかなえる施設は少しずつ増えている。
    
   □ ■ □

有力な選択肢の一つは、民家を改造して住まいの場を整え、終末期の高齢者を受け入れる
デイサービス事業者だ。
栃木県壬生町の「のぞみホーム」では、2001年以来9人の利用者がここで亡くなった。
今も98歳の男性など9人の高齢者が共同生活を続ている。
うち8人は家族といざという時も病院に搬送しない取り決めだ。

「6年前に初めて独り暮らしの方の看取りをしたときはとても緊張した」と話すのは看護師
で施設長の奥山久美子さん。
「食事をとれなくなると終末期の始まり。ほとんどの家族は延命治療を望みません」
 
もともとは自宅介護が困難になったデイサービス利用者のために部屋を提供していたが、
今では「余命を宣告された後、最期の時を過ごしたいと入居する人もいる」という。
 
宿泊付きの民家デイサービスは「宅老所」とも呼ばれる。
福岡市の「第2宅老所よりあい」の施設長、村瀬孝生さんは「老いや死は生命の自然な
過程。普通の生活を続けながら受け入れていくのがいい」と話す。
 
厚生労働省は、終末期などの長期入院が医療保険費用を膨張させているとの危機感から、
「在宅での看取り」への誘導に力を入れだした。
昨年(2006年)4月、従来の訪問診療より高額の診療報酬を受けられる、「在宅療養
支援診療所」という開業医向けの登録制度を創設。
既に全国10万近い診療所のうち約1万カ所が登録した。
 
「のぞみホーム」に訪問している蔵の街診療所(栃木市)も支援診療所の一つ。
同診療を運営する医療法人「アスモス」の代表で医師の太田秀さんは、「制度が追いついて
きたのはいいこと。終末期には緩和ケアなど医療の判断が欠かせない」という。

   □ ■ □

厚労省は昨春から介護でも、特別養護老人ホームに看取り介護などの報酬を上乗せした。
看護師を確保し、医療と24時間の連携体制を整えたグループホームにも加算し、施設運営
をバックアップ。
在宅医療の場として定着させようとしている。

だが、「看護師が手当てできないため加算を受け入れられないところが多い」(神奈川県の
グループホーム)など、現場からは一層の対策を求める声も出ている。

高齢者施設の運営者にはまだ「入居者の最期は病院で」という考え方も根強いが、個室の
増加などで、利用者やその家族が施設を「自宅の延長」「終(つい)の住み家 」とみな
せるようになれば、死の迎え方は変わっていきそうだ。
 
出典 日経新聞・夕刊 2007.6.1
版権 日経新聞

<コメント>
昨年の記事ですが、すでに後期高齢者を通り越した「終末医療」のことを
取り上げています。
しかし、終末期とは何をさしていうのか、誰が決めることなのか、病気の
有無、さまざまな病気や程度(不治の病かどうか)、本人抜きの話になって
いないか、家族が勝手に決めていいことなのか。
いずれにしてもこれらの施設では医療行為は出来ないか、たとえ出来ても
限られています。
尊厳死とは名ばかりで、結局は名ばかりの「姥捨て山」ではないのか。
何だかんだといっても家庭での看取りとは意味が違うのではないか。
いろんなことを考えてしまいます。

近所に、このような施設がありますが、そこに働くパートの人の話。
「勤め出した最初に、施設長に何かあっても何もしないでくれと言われ
ました。家族に怒られるからだそうです。そして亡くなった翌日にはすぐに
別の老人が横たわっています」

この新聞記事でも、厚労省はすでに「在宅看取り」を「医療費抑制施策」と
明言しています。

何となく後味の悪い内容の記事でした。
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<コメント>
2008年6月1日のブログで「ネットオークションに赤ちゃん出品」という記事
を紹介しました。

ふくろう切り抜き帖 2008.6.1
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/6/1
この記事はまさに「高齢者受難」の記事です。

<自遊時間>
昔は、「くるまはタイヤで走るのです」(タイヤのCM)
今は、「くるまはガソリンで走るのです」

きのうガス欠を起こしそうになった車に乗ってスタンドにガソリンを入れに行きました。
60リッター弱で1万円強。
ハイオクとはいえ初めての大台越えにびっくりしました。
6月1日の値上げの際には安く仕入れたガソリンをちゃっかり高くして売っているようです。
消費者の目も厳しいようで甘いものですね

熱しやすく冷めやすい。
日本人の特性です。
そして大人しい。
輸入肉解禁でも暴動を決して起こさない国民です。


読んでいただいて有難うございます。
コメントお待ちしています。

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