飛蚊症 老化の一種 その1(1/2)

虫がとんでいるいるように見えるのを「飛蚊症」と言います。
この飛蚊症の多くは、加齢が原因です。
なかには、重篤な病気の前兆ということもあります。
とりあえず眼科で診察してもらうことが大切です。

視野の中 黒い像が動いたら

視野の中で黒や灰色のかけらのような像がゆらゆらと動く「飛蚊(ひぶん)症」。
「重大な病気では」と不安がる人もいるかもしれない。
中年以降に発症する場合、多くは目の老化が原因。
治療では取り除けないが、症状は時間とともに軽くなっていくことが多い。
ただ、まれに網膜剥離(はくり)などが起きることもあるので眼科を受診し症状を
正確に把握した方がよい。
 
東京都の会社員Aさん(41)は、突然右目の視野にゴマのような黒っぽい点々
が浮かぶようになった。
目を動かすと黒い点も一緒に動く。
数日後に点の境界がぼやけ、全体が灰色の雲のようになった。
「ものが見にくく、うっとうしくて」眼科を受診した。
 
井上眼科病院(東京・千代田)の森山涼医師はAさんの眼底を検査し、「後部
硝子(しょうし)体剥離」と診断した。
白髪やしわと同じ老化現象の一種だという。
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60歳の3割発症
硝子体は眼球の中を満たす卵の白身のような、ゼリー状のゲル組織だ。
スクリーンの役目をする網膜に包まれている。
年を取ると次第にゼリーが溶けるように液化し、やがて後部に穴が開いて液化
したものが後方に流れ出す。
残ったゲル状の硝子体は収縮して眼球の前方に押しやられる。

硝子体と網膜が離れるので、後部硝子体剥離と呼ぶ。

60歳で3割、80歳でほぼ全員に起きるとされる。
近視があると早まり、30~40代で起きることも少なくない。
目の手術や外傷がきっかけになることもあり「最近は近眼治療のレーシック
手術の普及で、若いうちに後部硝子体剥離になる人が増えている」と森山医師
は話す。
 
硝子体が網膜から離れると、表面の凸凹がスクリーンである網膜に映るよう」に
なる。
硝子体表面の一部は。コラーゲン線維が固まって厚くなっており、これが網膜
上に影になって映る。
「虫が飛んでいる」「黒っぽい糸くずが浮かんでいる」など見え方は人によって
様々。
視神経の周囲はドーナツ状に厚くなっているため、たばこの煙の輪のようなもの
が見えることもある。

出典 日経新聞・朝刊 2008.12.14
版権 日経新聞

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