眼底検査で生活習慣病を発見

昨日のブログで、眼底検査が心臓病や脳卒中認知症の診断の糸口になり得るという話題をとりあげました。

心臓病や脳卒中認知症・眼底検査で発症予測
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2010/9/29

9月26日の日経新聞にも同様の記事が掲載されていました。


生活習慣病、「目の検査」で兆し発見

緑内障を早期発見/脳卒中リスク把握も
目の奥の血管や神経の状態を詳しく診る「眼底検査」。
緑内障など中途失明につながる目の病気だけでなく、脳卒中のリスク要因となる動脈硬化なども早期発見できる。
通常の健康診断ではあまり受ける機会がないので、専門の医師は、中高年になったら自発的に受診するよう、呼びかけている。

中高年になったら自発的に受けよう
「40歳を過ぎたら、年1回は眼底検査を受けてほしい」――。
上野毛眼科(東京・世田谷)の鎌田芳夫院長はこう話す。
緑内障などは中高年になると発症リスクが急に高まる。
多くが自覚症状がないまま進行する。
手遅れになる前の早期発見が何より大切だ。

目の病気の早期発見に、とくに効果を発揮するのが眼底検査だ。
眼底は目の奥の網膜や血管、神経が集まっているところで、検査では瞳孔を通じて眼底に光を当て、血管や神経の様子を観察する。

例えば日本人の中途失明の最大の原因である緑内障は、網膜の神経が束になって脳へと向かう「視神経乳頭」の形状に異常が現れる。
また、糖尿病性網膜症では眼底にある血管のコブや出血が目印となる。ほかに加齢黄斑変性症や白内障、視神経の炎症、網膜剥離など、様々な目の病気の早期発見に役立つと考えられている。

眼底検査には、大きく分けて2種類がある。
1つは眼底カメラを使って眼底の写真を撮影し、後から医師が写真を観察する方法だ。
大人数の検査に適しており、健康診断や人間ドックで実施される。


「脳の血管」の一部
1度に多くの検査ができる利点があるが、観察できる範囲は眼底の一部に限られる。
東京慈恵会医科大学付属第三病院(東京・狛江)の三戸岡克哉・眼科診療部長は「眼底の周辺部から病変が始まった場合、健診での眼底検査では見逃しが発生してしまうこともある」と話す。

もう1つは、眼科医が検眼鏡を持って瞳孔から眼底をのぞき込む方法だ。
目の奥の広い範囲を観察するために、目薬で瞳孔を大きく広げる「散瞳」をして受ける。
眼底の広い範囲をチェックでき、病変の見逃しが発生しにくい。
鎌田院長は「自覚症状があったり、糖尿病などの持病を抱える人は健診だけで安心せず、なるべく眼科で眼底検査を受けてほしい」と話す。

眼底検査の効用は目の病気の早期発見にとどまらない。
梅毒や、カビが原因で起こる真菌症などの感染症、がんの転移なども早期に見つかることがあるという。

眼底は唯一、体を傷つけずに血管の状態を観察できる場所でもある。
目は脳にも近く、眼底にある血管は脳の血管の一部ともいえる。
眼底の血管を観察して動脈硬化の状態がわかれば、将来の脳卒中リスクなどを知るのにも役立つ。


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実施の機会減る
眼底検査が脳卒中の予兆を知る上で有用なことは、疫学調査でも明確に裏付けられている。
大阪府立健康科学センター(大阪市)は1986~89年に眼底検査を受けた秋田県井川町の40~69歳の住民1786人を対象に、2005年まで脳卒中発症の有無を観察した。眼底検査で血管が細くなるなどの異常が見つかった人は、そうでない人と比べて、脳卒中を起こす頻度が高くなっていた。

様々な病気の早期発見に役立つ眼底検査だが、「08年の特定健診(メタボ健診)の導入以降、眼底検査が実施されなくなってきた」(同センターの北村明彦副所長)。
メタボ健診の実施要項では、高血圧・高血糖・脂質異常・腹回りの数値が基準を超えた人で、医師が必要と判断した場合に限り眼底検査を実施するよう求めている。
腹回りなどが基準値を下回った場合、高血圧や高血糖などのリスク要因があっても眼底検査は実施されない。

同センターは大阪府八尾市の40~74歳の2916人を対象に、メタボ基準に基づいて眼底検査を実施した場合、眼底の異常がどの程度見つかるかを調べた。
眼底に異常がある677人のうち、メタボ健診の基準では男性で6%、女性で2%しか、眼底検査を受けられない計算になった。

経済協力開発機構OECD)の統計によると、糖尿病患者に対する眼底検査の実施率は日本では37%で、国際的に見ても低い。
北村副所長は「メタボ健診の基準に限定せず、高血圧や高血糖の人を中心に幅広く眼底検査を実施しなければならない」と指摘している。(本田幸久)

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出典 日経新聞・朝刊 2010.9.26
版権 日経新聞



<自遊時間>
#第2の地球?20光年先に最も似た惑星
太陽系外の惑星の中で、最も地球に似た惑星が発見された。

生命の生存に適した条件を備えていると考えられる。米カリフォルニア大などの天文学者が29日、専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に発表した。

この惑星は、地球から20光年の距離にある小さな恒星「グリーズ581」の周りを公転している。
恒星のわずかなふらつきをハワイの望遠鏡で11年間観測し、惑星の存在を割り出した。

この恒星系には惑星は少なくとも6個あるが、新たに見つかった惑星は恒星との距離がちょうどよく、水が液体の状態で存在していると推測される。
片面だけが常に恒星の方を向いており、気温は70度~零下30度の間という。
地球の3倍の質量で、重力も適当なため大気も保たれていると考えられ、これまでに見つかった約500の系外惑星の中で、最も生物の生存に適している。
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生物の生存に適した惑星(手前)の想像図。奥の赤い恒星「グリーズ581」の周りを公転(Lynette Cook氏作成、全米科学財団提供)
出典 読売新聞 2010.9.30
版権 読売新聞社



<きょうの一曲> モーツァルト/ピアノ・ソナタ第9番
モーツァルト/ピアノ・ソナタ第9番 全楽章/演奏:仲田 みずほ
http://www.youtube.com/watch?v=VLBWndHMdpw









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