カフェインの鎮痛効果

カフェインの鎮痛効果発見
ちょっと古い記事になりますが2008.10.29の日経新聞・夕刊にこんな見出しの
記事が出ていました。
ご存知の方も多いことと思いますが、多くの市販の風邪薬には無水カフェインが
成分に入っています。

お茶で健康生活に・・アイテムのご紹介
http://www.lun-lun.com/shop/itami.htm



これは、「自然科学研究機構・生理学研究所」(愛知県岡崎市)の久保義弘教授
らの研究で分かったことです。

コーヒーや紅茶の成分のカフェインにヒトの痛みを抑える作用があるということ
のようです。
痛みを感じる特殊な蛋白質の働きを抑制するため、新たな鎮痛剤の開発に役立つ
可能性があるというコメントがついています。

痛みを感じる代表的なヒトの蛋白質TRPA1(トリップ・エーワン)のうち、
舌の神経の表面にある蛋白質に注目。それを取り出して培養して電流の変化を調
べたとのこと。

辛子の成分に触れさせると刺激を受けて電流が増えるが、カフェインの溶液を
かけると電流が減るという実験結果です。

ただ「実験では投与する濃度が高く、ほかの作用も効きすぎてしまうため、薬を
開発するには課題も多い」とも説明しています。

これからは、いろんな疼痛を持つ患者さんに「コーヒーや紅茶を飲んでもいいです
か」と訊かれたら「鎮痛効果が期待できるから大いに飲んで下さい」という指導が
出来ます。

しかし、最初に述べたように市販の鎮痛剤の多くにカフェインが成分として入って
いるので何が目新しい研究なのか今一つ理解出来ません。

マウスとヒトでは結果が異なるといったところが発見かも知れません。

そうなると動物実験も、結果の解釈には気をつけなければいけないということ
ですね。



<関連サイト>
カフェイン  マウスには 「痛み刺激物質」 、ヒトには 「薬」?
http://www.nips.ac.jp/news/2008/20081117/

<カフェイン 関連サイト>
カフェイン
http://ja.wikipedia.org/wiki/カフェイン
■主に無水カフェインとして、一般消費者向けの総合感冒薬に用いられることが多い。
これは、カフェインの作用である鎮痛補助目的が主で、配合された塩酸ジフェン
ヒドラミンやマレイン酸クロルフェニラミンなど催眠性の強い抗ヒスタミン剤
副作用を緩和する目的ではない(実際のところ、催眠性成分の緩和には至らない)。 



<自遊時間>
日経新聞・夕刊 2009.3.19の「あすへの話題」というリレーエッセイで作家の
長部日出雄氏が「医療の未来への希望」というタイトルでがん体験記を書かれて
います。
その中で「『がんとの闘いは一種の情報戦』という中川恵一・東大病院准教授の
説に従い、ネットで検索して・・・」という文章が目にとまりました。
このように患者さんは実に多くの最新情報を知っています。
こちらも知らないような情報もあり勉強になることもありますが、とんでもない
間違った情報もあります。
是非ホームドクターなどと相談して意見を交換されることをおすすめします。
「かかりつけ医」はそのためにあるのですから。

<関連サイト>
中川先生のご紹介
http://2nd-opinion.eee.ne.jp/Profile/nakagawa.html

中川恵一先生 紹介
http://www.niizashiki-hp.jp/nakagawa.htm

特別対談・日本のがん医療を考える
養老孟司北里大学教授、東京大学名誉教授)× 中川恵一(東京大学助教授)
http://www.gsic.jp/support/sp_02/spc/

「がんのひみつ」(中川恵一著)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/info/book_item/20080217-OYT8T00233.htm


読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(~H20.12.10)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(~H20.5.21)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)