魚の脂を取ろう

イワシやサバなど青魚に豊富なエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキ
サエン酸(DHA)という油成分が、動脈硬化を防ぐとされます。
2005年11月、米国心臓協会学術集会(AHA)で横山光宏・神戸大学教授
(循環器病学)が注目の発表をしました。

コレステロール値が高い高脂血症患者約9000人に、コレステロール
下げる通常の薬に加えて魚から抽出したEPAを毎日1.8グラム飲んでもらい
ました。
その結果は飲まなかった患者約9000人に比べ、心臓突然死や心筋梗塞など
の心臓病が、約5年間で19%減ったということです。

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出典 朝日新聞・朝刊 2006.1.22
版権 朝日新聞社


#脳の炎症抑え、認知症予防も -血栓動脈硬化も防ぐ-
高齢社会にあって、アルツハイマー型の認知症(痴ほう症)(AD)の増加が
心配されるが、少しでも防ぐ手立てはないものだろうか。自治医科大学大宮
医療センター(埼玉県)神経内科の植木彰教授は「予防に大事なのは、十分な
野菜と水分、そして魚の脂です」と勧める。

DHAEPA含む
植木教授は、患者の食生活について聞き取り調査を続けており、その一環
としてAD患者64人と、そうでない健康な80人との比較検討を行った。
 
それによると、AD患者は健康な人に比べて、男女共に発症する前から偏食
で、魚と緑黄色野菜の摂取量が少なかった。女性は特に魚が少なく、男性は
肉が多かった。
このため、男女とも健康な人と比べて、魚の脂に対してほかの油の摂取比率
が高いことが分かった。
 
油の主な成分である脂肪酸には、幾つもの種類があり、性質もそれぞれ違う。
 イワシやマグロなどに含まれる脂肪酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)と
エイコサペンタエン酸(EPA)には、血管をふさいで梗塞(こうそく)を起
こす血栓動脈硬化をできにくくしたり、体内でコレステロールを作りにくく
したりする性質がある。
 
これは、多くの食用油、バター、マーガリン、肉の脂にはほとんどない性質だ。

● 週に6回取って
脂肪酸は、体内で体に必要な物質を作る材料になり、体に炎症を起こす物質も
脂肪酸から作られるが、DHAEPAからは炎症を起こさない物質が作られる。
 
「ADでは脳に炎症が起きますが、患者は発症する前から炎症が起きやすい
体だったと考えられます。DHAEPAを取ることで炎症が起きにくい体にする
ことが、ADの予防にもつながると考えています」と植木教授。
 
ADの前の段階とされている軽度認知障害の患者の中には、食事内容を変えた
ことによって、障害の程度が分かるテストの点数が改善された人もいる。
 
植木教授は「1週間に6回魚を」と勧めている。3食のうち1食は魚の献立にし、
缶詰や干物もうまく利用しよう。魚が苦手な人は、高価だが同じ性質のしそ
油を取るといい。

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出典 Medical Tribune 2003.4.18
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
当院でもEPA(薬剤として保険適応になっています)を積極的に処方しています。
しかし、こういった大規模の研究がない限り効果の実感はなかなか湧かないもの
です。
処方する側の医師は、常にこういった情報収集を怠らないようにしなければいけ
ません。

読んでいただいて有難うございます。
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