新しいインフルエンザ治療薬

現在、インフルエンザの治療薬については完全に外国頼みです。
しかし最近の話題として塩野義製薬がペラミビルを近々に、第一三共富山化学工業ももう少しで参入予定と頼もしいニュースが入ってきました。

#点滴の抗インフル薬「ペラミビル」、優先審査へ
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会部会は11月30日、点滴する注射薬の抗インフルエンザ薬「ペラミビル」(塩野義製薬)について、審査から承認までの期間を短くできる「優先審査」の対象にすることを決めた。
現在の抗インフル薬は、飲み薬のタミフルと、口から吸い込むタイプのリレンザしかない。
せきがひどいなど、薬が口から飲めないような患者の治療に役立つとして、期待されている。
10月に承認申請されたが、同省は新型インフルエンザの拡大を受けて、審査を急ぐ方針だ。
http://www.asahi.com/national/update/1201/TKY200911300529.html
出典 asahi.com 2009.12.1
版権 朝日新聞社
<コメント>
実は韓国では、日本に先駆けて11月24日より使用可能となりました。
注射液のため内服不能な重症者には効果的ということです。
しかしタミフル耐性の場合にペラミビルにも耐性の症例もあるという気になるコメントも載っています。
すでに耐性があるというのはどういうことでしょうか。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1122&f=national_1122_031.shtml



#抗インフルエンザウイルス薬「T-705」 米国での臨床第I相試験開始のお知らせ
富山化学工業株式会社は、抗インフルエンザウイルス薬「T-705」の米国での臨床第I相試験を開始しましたのでお知らせします。

T-705は、既存のインフルエンザ薬とは異なるウイルス由来RNAポリメラーゼ阻害剤であり、ウイルスの遺伝子複製時に作用を示し、その増殖を防ぐ効果があります。
米国ユタ州立大学で行われたH5N1型鳥インフルエンザのマウス感染モデルにおいて、T-705は既存の薬剤と比べ高い治療効果を示したため、H5N1型を含むインフルエンザ治療薬として開発を進めています。

現在、一般のインフルエンザ治療にはノイラミニダーゼ阻害剤が多く用いられています。
また、H5N1型インフルエンザによるパンデミックの発生が世界的に懸念される中、多数の国でノイラミニダーゼ阻害剤の備蓄が進められています。
しかしながら、H5N1型インフルエンザウイルスに対しての治療方法は未だ確立されておらず、作用メカニズムが異なるT-705を開発することは、新たな治療上の選択肢を提供することとなり、極めて有用と考えています。
http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/070312101148.html
<コメント>
これはちょっと古いのですが2007年3月のアナウンスメントです。


#インフルエンザ治療薬「T-705」臨床第?鶚相試験開始のお知らせ
富士フイルムグループの富山化学工業株式会社(以下、富山化学)は、インフルエンザ治療薬「T-705」の臨床第?鶚相試験を開始しましたのでお知らせします。

T-705は、富山化学が創製したウイルス由来RNAポリメラーゼ阻害剤です。
米国ユタ州立大学での研究において、高病原性のH5N1型鳥インフルエンザウイルスを感染させたマウスに対し高い治療効果を示したため、H5N1型を含むインフルエンザ治療薬として開発を進めてきました。

国内では2008年1月より開始した季節性インフルエンザ患者での臨床第?鵺相試験において、新規メカニズムであるRNAポリメラーゼ阻害剤が、ヒトでも薬効を示すことをはじめて確認しました。
また、現在、世界各国で流行している新型インフルエンザ(豚由来A/H1N1型)にも、国内の研究施設で実施された動物試験で効果が確認されています。

臨床第?鶚相試験では、A型あるいはB型のインフルエンザに感染した患者を対象に、T-705の治療効果について検討することを目的に、比較対照薬剤との二重盲検試験を実施します。
主要評価項目はインフルエンザ罹病期間であり、比較対照薬剤との間で統計的に差がないこと(非劣性)を検証します。
http://www.toyama-chemical.co.jp/news/detail/091029.html
<コメント>
2009年10月のアナウンスメントです。
私達が一番望んでいるのは罹病期間(病気にかかっている期間)の短縮ではなく重症化を防ぐ、ないしは死亡を回避するということではないでしょうか。
発熱だけなら解熱剤で何とかなります。
そして1~2日早く治ることにどれだけの意味があるのでしょか。
学校や会社へその分早く復帰すれば感染拡大を防ぐことにはなりません。

実は、現在の抗ウイルス剤にはインフルエンザ脳症との関係は肯定も否定もされておらず、死亡率を低下させたという論文もないのです。
あるのは「効果が期待出来る」という期待感だけです。



イメージ 1

出典 日経新聞・朝刊 2009.10.30
版権 日経新聞

読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
井蛙内科開業医/診療録(4)
http://wellfrog4.exblog.jp/
(H21.10.16~)
井蛙内科開業医/診療録(3)
http://wellfrog3.exblog.jp/
(H20.12.11~)
井蛙内科開業医/診療録(2)
http://wellfrog2.exblog.jp/
(H20.5.22~)
井蛙内科開業医/診療録 
http://wellfrog.exblog.jp/
(H19.8.3~)
(いずれも内科専門医向けのブログです)
葦の髄から循環器の世界をのぞく
http://blog.m3.com/reed/
(循環器専門医向けのブログです)