輸入ワクチン その2

2009.12.18の

輸入ワクチン
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/34984296.html

でもとりあげましたが、「輸入ワクチン」の続編です。

このワクチンについては風評の面も大きく、接種希望者がいるかどうか、接種する医療側も予測が立ちません。
多くの開業医は今回のワクチン狂想劇で疲弊しており、当院も輸入ワクチンが始まる前にワクチン接種から撤退するつもりです。

いつ、どれだけワクチンが入手出来るか分からない現在の状況です。
いつ接種出来るかとか廃棄分を最小限にする工夫など、患者さんへの対応に追われて日常診療に支障を来たしています。

新規の接種受付は数週間前に終了しています。
予約した方だけでも責任を持って接種したいのですが、希望者側のキャンセルも多く出そうです。

今後は是非とも保健所での集団接種をお願いしたいものです。


#成人は1回接種で十分、痛み目立つ輸入ワクチン
厚生労働省は28日、欧州の2社から輸入する予定の新型インフルエンザワクチンの国内臨床試験の結果を公表した。

健康な成人に対して1回接種で十分な効果が確認されたが、国産ワクチンに比べ注射部位の痛みを訴える割合が高かった。

同省薬事・食品衛生審議会の部会は両ワクチンを「承認して差し支えない」との意見をまとめている。同省は資料をホームページで公開し、来月11日まで意見を募集、最終的に承認するかどうか決める。

グラクソ・スミスクライン社のワクチンを用いた臨床試験は20~64歳の成人100人に実施、1回接種3週間後に95%の人が十分な免疫物質(抗体)を持ったことが分かった。
1回接種後に98%の人が痛みを訴え、疲労(46%)、頭痛(35%)などの副作用も報告された。

スイス・ノバルティス社のワクチンは、20~60歳に投与された。約100人に半量を注射したところ、1回接種後に81%、2回接種後に96%の人に抗体が確認された。
注射部位の痛みは68%の人が訴えた。

両社のワクチンは、承認されれば来年2月から、主に19~64歳の健康な成人への接種に使う。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090425-436828/news/20091228-OYT1T01086.htm
出典 読売新聞 2009.12.28
版権 読売新聞社


##「新型」ワクチン輸入了承、2月にも接種へ
厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会は26日、欧州の大手製薬2社の新型インフルエンザ用ワクチンについて、輸入を承認する方針で合意した。

国民の意見を聞いた後、1月中にも正式承認され、2月から健康な19~64歳への接種が始まる見通しだ。

輸入するのは英グラクソ・スミスクライン社(GSK社)の7400万回分と、スイスのノバルティス社の2500万回分。流行に間に合わせるため、承認審査を簡略化する薬事法上の特例承認の手続きを初適用した。
2社のワクチンは免疫反応を高める成分が添加されるなど、国産とは製造法が違っているが、効果は変わらないとされる。

GSK社カナダ工場で製造され、同国で接種されたワクチンの一部で重い副作用が相次いだが、厚労省の現地調査の結果、残りのワクチンには問題がないことが分かった。
部会ではワクチンの中に凝集物(にごり)が発生する問題も指摘されたが、安全性に大きな問題はないと判断した。

部会は輸入の条件として、副作用などに関する速やかな情報提供を2社に求めたほか、妊婦には推奨せず、持病のある人には慎重に接種することを求めた。
また、タミフルリレンザに続く第3のインフルエンザ治療薬「ペラミビル」(商品名・ラピアクタ)の承認も了承した。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090425-436828/news/20091226-OYT1T00878.htm
出典 読売新聞 2009.12.26
版権 読売新聞社


<番外編 その1>
##新型インフル:ワクチン接種後死亡100人超す 厚労省
厚生労働省は28日、新型インフルエンザワクチンの接種後に死亡した人が100人を超えたと発表した。
25日現在、医療機関から1899件の副作用報告があり、入院相当以上の重篤が294件、死亡が103件含まれていた。
この間の推計接種者は1492万人で、死亡の報告頻度は0.0007%だった。

死亡者のうち80人が70歳以上で、持病を持つ優先接種対象者だった。
主治医が「死亡と接種の因果関係が疑われる」と判断したケースはないが、専門家の検証では、一部について接種が持病悪化の引き金になった可能性が指摘されている。
http://mainichi.jp/select/science/news/20091229k0000m040043000c.html?inb=yt
出典 毎日jp 2009.12.28
版権 毎日新聞社
<コメント>
死亡と関係がないと言い張っていた厚労省もさすがに表現のニュアンスが変わって来ました。
しかし、この記事を読む限りあくまで「専門家の検証」であり「厚労省の見解」ではない形になっています。
優先接種対象者に死亡例が多いのは皮肉な結果です。
ハイリスクは「ワクチン接種の際のハイリスク」と読み直すべきです。
不幸なことに私の言ってきた通りになってきました。


<番外編 その2>
#<強毒鳥インフル>「大流行前ワクチン」一千万人分期限切れ
■強毒性鳥インフルエンザ(H5N1型)の流行に備え、政府が備蓄してきたプレパンデミック(大流行前)ワクチン1000万人分(約50億円相当)が使用期限切れとなっていることが28日分かった。厚生労働省は今年度、医療従事者などに新型発生前の事前接種を検討していたが、想定外の新型インフルエンザ(H1N1型)への対応に追われる間に約3年の保存期間が過ぎた。
専門家は「H5N1型が新型になる危険はある。ワクチンの今後の製造や備蓄について早急に議論を始めるべきだ」と指摘している。
厚労省は「使用可能かどうかを調べる追加検査をして保存期間を延ばす対応もある。すぐに廃棄ということにはならない」としながら、「備蓄を始めた当時は、H5N1型の流行がすぐにも始まると推測され、保存期間後の検討はしていなかった。
今年に入り、新型への対応などで、とても議論する余裕がなかった」と明かす。
<コメント>
「保存期間を延ばす対応もある」・・・ちょっと、ちょっとちょっと。
厚労省は自己都合で勝手にタミフルリレンザの使用期限を大幅に延長した経緯があります。
製法や製剤が変わったかというと、そうでもありません。
逆に使用期限が1年以内の降圧剤(某大手外資系メーカー)を商品として野放しで流通させています。
出典 毎日jp 2009.12.29
版権 毎日新聞社


<きょうの一曲>
" Autumn Leaves " Chet Baker - Paul Desmond
http://www.youtube.com/watch?v=Gsz3mrnIBd0&feature=related



読んでいただいて有難うございます。
コメントをお待ちしています。
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